コラム

Vol.44

by ひきたよしあき 2020.01.14

干支のコトダマ

子年生まれのせいでしょうか。
細々とよく動きます。

家にはソファのようなくつろげるものは
ありません。
テレビをつけたまま居眠りすることも
皆無に近いです。

朝起きてからは「ルーティンワーク」を
するためのアプリを使って、
ベッドメイキングに3分、コーヒーを
入れるのに2分半、歯磨きに3分などと
分刻みに入れています。
起きた瞬間にこれを立ち上げ、ほぼ40分で
朝の支度が完了するようにしている。
毎日やっているので、最近はアプリを
立ち上げなくても、ほぼ順番通りに
支度ができるようになっています。

人に話すと「とんでもない!」と言われます。
しかし、こうしたルーティンワークで
いちいち止まっていると、考えたり
文章を書いたりする時間がなくなります。

もっともこの文章も、いつもタイマーがセット
されていて、45分をすぎたところで
目処がたつようにしているのですが。

昔からこうした傾向は強い方でした。
しかし、徹するようになったのは、
重い病気にかかってからでした。

「命には限りがある」

それを嫌というほど知らされた私は、
退院後、すぐにアナログ時計を買い、
新しい時間を生きようとしました。

時折、秒針が動くのを見て、時間が
すぎていることを再認識しています。

おかげさまで「先延ばし」の癖は
随分減りました。

小さなタスクでもためないこと。

それは、食べたあとの食器を片付けるとか、
机の上を整えるなどの仕事以外のことでも
同じです。
いえ、仕事以外のことを貯めないように
することの方が大切にさえ思えます。

「そんなにせかせかしていたら、
人生楽しくないだろ」

「私は、もっと自由に生きたいわ」

という人もいます。否定はしません。
それぞれの価値観ですから。

しかし、子ども教育においては、
この「先延ばししない」ことを教えることが
とても大切に思うのです。
宿題は必要か否かという議論があります。
私はその中身や教育効果以上に、
「家に帰ったらすぐに宿題をやる」という
先延ばししないくせをつけるには非常に
有効な手段だと考えます。
私は、かなり厳しくしつけられた結果、
夏休みの読書感想文は、いつも夏休みに
入ると同時に書きあげていました。
ズルズルと先延ばしをすると書けなくなる
と自分の性格を踏んでいたからです。

「そんな生き方で、疲れませんか?」

とよく尋ねられます。

大丈夫、人はよくできたもので、疲れて
くればあくびもでるし、うっかりうたた寝
をしてしまう。

「一息いれよう」なんて考えなくても、
体は勝手に休むものです。

現にこのコラムは、「命に限りがある」と
書いたあたりで、睡魔に見舞われ、一度
記憶が飛びました。

顔をあげると20分経過している。
偉そうに言っていても、ちゃんと睡魔が
先延ばしをしてくれているのです。

せっかくの子年。
こまめに動くと運が巡ってくるかもしれません。
例年より少しだけで「先延ばし」しないように
心がける。

それが今年の干支のコトダマのように思えて
なりません。
終わらせられるものは、どんどん終わらせていきましょう。

  • ひきたよしあき プロフィール

    博報堂クリエイティブプロデューサー/スピーチライター
    早稲田大学卒業後、博報堂に入社。クリエイティブ局で、
    CMプランナー、クリエイティブ・ディレクターを経て現職。
    明治大学で教鞭をとるかたわら、朝日小学生新聞にコラムを連載、
    読者である子どもたちとの文通も行っている。
    facebookには年間約1000本のコラムを投稿し、幅広い世代から
    圧倒的な支持を得ている。
    2018年4月より、博報堂教育財団コミュニケーションコンサルタントとして
    の活動もスタート。
    著書に、「大勢の中のあなたへ」(朝日学生新聞社)、
    「博報堂スピーチライターが教える口下手のままでも伝わるプロの話し方」
    (かんき出版)、「5日間で言葉が『思いつかない』『まとまらない』
    『伝わらない』がなくなる本」(大和出版)等。