博報賞

活動タイトル

子どもと共に自分の差別意識を見つめ、学び続ける「じんけん」学習

新発田市立住吉小学校

独創性と先駆性を兼ね備えた教育活動|博報賞| キーワード:新潟県
新発田市立住吉小学校

活動内容

誰しもの中に潜む差別意識と加害性を、子どもも教職員も自覚する

1988年から人権教育、同和教育に取り組んできた本校では、「人権の大切さ」を学習するだけに留めず、児童と教員が共に「自分の差別性や加害性に向き合う『じんけん』学習」を全学級で行っている。具体的には、身の回りや社会に存在する性別、障がい者、高齢者、外国人、病気、被差別部落出身者などへの偏見・差別を題材に、高学年では当事者の方を招いた授業を実施。新型ウイルス感染症禍においては、自作資料で感染症差別についての学びも深めた。
授業で貫かれているのは、「差別がいけないことを『教える』授業」ではなく、「自分の加害性や差別意識を子どもと『共に考える』授業」であること。学びの積み重ねの中で子どもたちは、差別意識や加害者になり得ることへの気づきを経て、「差別をしない自分になりたい」という気持ちを強めていく。
また、全学級担任が、つらい想いや不安を抱えている児童・保護者に対していかに関わったか、悩みや迷いも含めて綴る「かかわりレポート」を作成し引き継ぐ。教職員同士の話合いも活発に行われ、自らの差別意識への気づき、児童との関わりの変化、人権教育、同和教育への想いの醸成につなげている。
「じんけん」学習の成果は、校外への発信に加えて児童の日常生活の言動にも表れ、保護者や地域住民の人権意識の向上にも影響を与えている。

【写真】
当事者と共に考える「じんけん」学習(高学年)

審査委員より

「差別はいけない」と教える授業から、「自分自身の加害性や差別意識を子どもと共に考える」授業へと転換を図った点が、極めて高く評価される。さまざまな資料教材を自作し、生活に生きる学習へとつなげている点、教師自身が「かかわりレポート」を通して学び合う点も、他校の参考になる。誰もが皆、差別する側にもされる側にもなり得ることを前提とし、自分自身の内なる偏見や無知をみつめることこそを大事にする住吉小の取り組みは、パンデミック下の日本で今、最も必要な教育活動の一つであり、日本の未来への大きな希望である。

プロフィール

新発田市立住吉小学校

【代表者】
天井 弘

【役 職】
校長

【活動開始時期】
1988年

【団体所在地】
新潟県新発田市

【HP】
https://sumiyoshi.shibata.ed.jp/

【学校(団体)規模・活動参加人数】
○子どもの人数:585名
○指導者数:64名(職員)
○協力者数:約10名(ゲストティーチャー、講演会講師、校内研修講師等)
○開催ペース:通年、毎年行っている。