博報賞

活動タイトル

芸北の宝で地域おこし ~茅プロジェクト~

北広島町立芸北中学校

日本文化・ふるさと共創教育|博報賞| キーワード:広島県
北広島町立芸北中学校

活動内容

「藝北茅」で実現する地域経済の活性化 小規模校の実践

地域の活性化を模索していた生徒たちが、身の回りにある茅(ススキ)に建材としての価値があると知り、茅を有効活用する仕組みを構築した。旧スキー場で育てた茅を刈り取ると共に、地域住民から集めた茅を地域通貨で買い取り、これを茅職人に販売する仕組みだ。茅が地域の副収入源となる他に、毎年刈り取ることで高品質な茅の収穫や草原生態系の保全につながり、茅葺き建築技術の伝承も可能にしている。 1、2年生の総合的な学習の時間に位置づけられた活動には、①茅を使用した文化の学習 ②茅刈り ③茅受入時の検品から地域通貨との交換まで生徒が行う「茅金(かやきん)市場」の運営 ④広報がある。作業手順などは、2年生を中心に会社(1、2年生の縦割り班)で話し合い、効率性や生産性を考慮して協働する。
昨年度は、より多くの茅を集めたいと2年生が1年生と全保護者の理解を得て、市場の開催日変更を校長に直談判し、実現も果たした。また、校区900戸へのチラシ配布や過去実績がある方への手紙といった広報活動も、毎年改善を重ねて行われている。成果は集荷量増に表れ、生徒の積極性やアイデアをさらに引き出している。
集めた茅は、地元のみならず県内の文化財や家屋の補修・修復に活用されており、生徒は茅を通して伝統文化や地域への想いを深めている。

【写真】
生徒が旧スキー場のゲレンデで茅刈りをしている様子

審査委員より

地域の宝として「茅」に着目し、自然環境の活動としての「茅」だけでなく、文化的景観の保全や地域内の経済効果を考えた収入源づくりの「茅」と多様な視点のあるプロジェクトは評価できる。特に「茅金市場」を設け、地域の人々と経済活動を共にする中で、人々の温かさや厳しさ、自主性やコミュニケーション力が求められ、生きた学びがそこにある。校長先生に活動時間の延長を相談に行くなど前向きで積極的な行動は、その延長上にあったと確信した。「茅プロジェクト実行委員会」が生徒を温かくサポートし、継続的な活動となるよう「見守る」立場は大切な点である。

プロフィール

北広島町立芸北中学校

【代表者】
河野 通之

【役 職】
校長

【活動開始時期】
2015年

【団体所在地】
広島県山県郡北広島町

【学校(団体)規模・活動参加人数】
○子どもの人数:全体23名(小学生3名、中学生20名)
○指導者数:内部8名、外部2名
○協力者数(ボランティア等):30名
○開催ペースやクラス数:茅刈り3回(1・2回 中学1・2年生、保護者、地域住民 3回 実行委員会メンバー、保護者、地域住民)、茅金市場1回(中学1・2年生、保護者、地域住民)