博報賞

活動タイトル

帰国生徒にとって必要な日本語力を考えた長年の教材開発と教育実践

同志社国際中学校・高等学校

国語・日本語教育部門|-| キーワード:京都府

活動の目標・方針

中学・高校の帰国生徒にとって、必要な日本語力とは何かを明確にし、その力を効率よく身につけさせるための指導方法について研究をする。そして、その研究の成果を公表することで広く帰国生徒教育、国語教育の発展に資する。

活動内容

1980年代に高等学校、中学校の順に、帰国生徒受入れ専門校として設立され、帰国日本人の日本語教育において、先導的役割を長年にわたり果たしている。その役割の最大の意義は、その考え方にあり、日本語が「学習言語」「思考言語」「母国語」であるという教育理念を持つところにある。外国人留学生が、日常生活に必要な語彙から学ぶのとは異なり、学習・思考のために必要な語彙はどれかという視点から発想されている。また日本人としてのアイデンティティー確立が、重要視されているのもこの考え方から来ている。もうひとつの意義は、日本人の帰国生徒向けに、まとまった「日本語」の教科書が出版されていない中で、高校生、中学生それぞれに向けた教科書を開発し、公開していることである。教材やそれと結びついた指導も、先の教育理念に基づいており、長年の研究は他校の帰国生徒教育のみならず、外国人留学生の教育にも大きく貢献している。



審査委員より

1980年の学校創立以来、帰国子女の受入校として日本語教育に関する教材及び指導方法の開発を継続し、多くの成果を上げてきた。特に、教材開発を教科書として体系化しようとする試みは、中学生・高校生期にある帰国生の日本語力の分析から始め、生徒の要求に対応する形で語彙や文法、読解や作文の教科書作りを進めていったものである。一般的な外国人に対する日本語教育とは違った帰国生独自の対応として注目されるべきものである。

プロフィール

同志社国際中学校・高等学校

団体概要

【創立】
1980年

【団体の規模】
・児童・生徒数 中学 302、高校 819
・クラス数 中学 9、高校 18
・指導者数 48

主な著書・論文・文章など

1990・98年改訂 教科書「高校生のための日本語1-文法・語彙編-」 同志社国際中・高等学校
1990年 教科書「高校生のための日本語語彙表-英語版-」 同志社国際中・高等学校
1991年 教科書「高校生のための日本語2-作文・読解編-」 同志社国際中・高等学校
1998年 教科書「高校生のための日本語語彙表-中国語版-」 同志社国際中・高等学校
1998年 論文「帰国子女と日本語教育」「日本語教育」66号 日本語教育学会
2002年 教科書「中学生のための日本語」 同志社国際中・高等学校