博報賞

活動タイトル

学校文化としての「震災をわすれないとりくみ」の構築

永田 守

独創性と先駆性を兼ね備えた教育活動|奨励賞| キーワード:兵庫県
永田 守

活動内容

震災遺構の再整備を通して子どもの命の重みを共有する活動

1995年の阪神・淡路大震災で、芦屋市は大きな被害を受け、多くの尊い命を失ったが、時間の経過と共に、被災者の思いや震災の記憶の風化が課題となっていた。そこで、打出浜小学校の防災担当となった永田教諭は、荒れていた震災遺構の再整備に取り組むと共に、「震災をわすれないとりくみ」を学校文化にしようと、7年にわたってさまざまな活動を重ねてきた。
まず教職員研修会を行い、教職員間で問題意識を共有し、同校の遺構「打出の森(しょうこさんの木)」・「打小の水辺」の再整備を実現した。また、阪神・淡路大震災当時の同校の様子についての一次史料を収集し、復興25年祈念冊子を編集・刊行すると共に、子どもや教員が学ぶための教材を開発していった。これらの活動を通して、マンネリ化していた震災の学習を改善し、子どもたちが「自分ごと」として学べる授業をつくり、震災遺 構を維持する清掃体制なども構築した。
さらに、永田教諭個人として、東日本大震災で避難を余儀なくされている児童生徒をどう受け入れるかなど、被災した児童の心のケアや「受け入れ教育」についても、研究に取り組んでいる。今後起こりうる災害に備える安全教育だけでなく、人間としての生き方を子どもと共に考える活動を目指されている。

【写真】
「震災を忘れないとりくみ」自主教材を使って授業する永田教諭

審査委員より

永田教諭は、阪神・淡路大震災で亡くなった子どもの追悼をきっかけに、被災の記憶を継承するための取り組みを重ねてきた。 現役教師が多忙な中で、他の教職員全体の理解を醸成しながら、この取り組みを7年間継続した点が貴重である。また、過去の震災で傷ついた子どもを大切にし続ける姿勢を、今を生きる子どもに示すことを通して、単なる安全教育の枠を超えて、人間が大切にされるということはどういうことかを考える取り組みである点が、高く評価された。永田教諭の実践の発展と共に、永田教諭の異動後もこの取り組みが同校で継承されることを期待したい。

プロフィール

永田 守

【所属先役職】
芦屋市立打出浜小学校 教諭

【活動開始時期】
2015年

【団体所在地】
兵庫県芦屋市

【学校(団体)規模・活動参加人数】
○子どもの人数:480名(小学生480名)
○指導者数:内部30名
○協力者数(ボランティア等):5名