博報賞

活動タイトル

主役は子どもたち 読書へのアニマシオンと地域の文化資源により、「人間力」を育む活動

甲州市立勝沼図書館 カムカムクラブ

独創性と先駆性を兼ね備えた教育活動|博報賞| キーワード:山梨県
甲州市立勝沼図書館 カムカムクラブ

活動内容

主体的に読む力を伸ばし、地域の資源としての図書館や読書の意義を知る

自ら考え、本を読み、意見を言える子どもをグループ活動の中で育てることを目的に、勝沼図書館が2003年に設立した読書クラブ。市内の小学3、4年生から会員を募り「遊びが最大の学びになる」という考えのもと、図書館の情報資源や地域の文化資源を活かし、子どもが主役となる取り組みを数多く企画・実践している。
活動の中心は、遊びの要素を取り入れ、楽しみながら読む力を高めるアニマシオンだ。自由に楽しく参加する雰囲気の中、全員で同じ本を読み、遊びを通して想いを共有・発表することで、積極的な読書と自分のことばで発言できる子どもの育成につなげている。このアニマシオンを核に、図書館という場を活かした取り組みを毎月企画。市内の図書館を巡って利用ルールを学ぶバスツアー、図書の分類法や図書館の正しい使い方を学んでから実際にカウンターで司書体験をする「図書館探検隊」などの他、毎年11月には図書館まつり「カムカムフェスタ」を開催している。子どもたちはスタッフとなって積極的に準備から関わり、ペープサート(子ども向けの紙人形劇)を演じ、クイズ大会の進行を務めるなど、日頃の成果を発揮する機会としている。
クラブで実践したアニマシオンは、改良を加えて市内の小学校の授業にも活用されるなど、地域の読書活動の活性化にもつなげている。

【写真】
夏休みの司書体験。小グループに分かれ指導を受ける

審査委員より

公立図書館が地域の子どもたちを募集し、「アニマシオン」と呼ばれる手法で、読書の楽しさや読む力を育てる取り組みである。また、司書体験や書架の分類法なども学び、地域の文化資源としての図書館そのものの価値を伝える活動を含む点も、高く評価された。多くの自治体において、厳しい財政下で公立図書館の意義や価値が問われており、図書館司書の専門性も危機に瀕している。この状況下で、自らの専門性と公共性を地域に発信するとともに、次世代の子どもの中に理解者を育てている勝沼図書館の活動は、今後の公共図書館の未来に重要な意義をもつだろう。

プロフィール

甲州市立勝沼図書館 カムカムクラブ

【代表者】
古屋 美智留

【役 職】
主査

【活動開始時期】
2003年

【団体所在地】
山梨県甲州市

【HP】
https://www.lib-koshu.jp/
https://m.facebook.com/gakushu.koshu/
https://tane.info

【学校(団体)規模・活動参加人数】
○子どもの人数:小学3・4年生20名程度
○指導者数:内部3名(不定期で外部1~2名)
○協力者数(ボランティア等):1~2名
○開催ペース:月に1回