博報賞

活動タイトル

中学生に特化した日本語指導と教科学習の支援 ~在籍校へのソフトランディングを目指して~ 

初期支援コース「みらい」

日本語教育|奨励賞| キーワード:愛知県
初期支援コース「みらい」

活動内容

不安に寄り添い、高校進学を見据えて在籍校での生活・学びにつなぐ 

日本の学校経験が浅く、日本語が分からない中学生に特化した初期指導で、生徒が在籍校での生活や学習にソフトランディングできるよう支援する取り組みである。生徒は居住区の中学校に在籍しながら、10週にわたって月~木曜日の始業~5限目まで「みらい」へ通い、金曜日は在籍校へ登校する。登校日は、スタッフが在籍校を訪問して生徒の様子を観察し、必要に応じて支援する。級友や教員と関わることで達成できる課題も用意し、居場所づくりにも努める。「みらい」では2週間ごとに新しい生徒が入級するため、全員が教え・教えられる立場を経験することで、集団の中での年齢に応じた役割も学んでいる。
来日生徒は、母国の学校との学習環境の違いなどから、小学校の基礎段階の内容でつまずくことも多い。このため、例えば数学では、小学校の復習的内容と中学校の学年相当の内容を教えるなど、教科指導にも力を注ぐ。同時に、ノートの取り方、宿題の進め方、家庭学習の習慣化など、学習の取り組み方も育成する。また、リコーダーや裁縫といった実技教科は、ほぼ全員が未経験なため、昼休みに「レクレーション」として体験できるようにした。
「みらい」修了後も「個別の指導計画」を在籍校に引き継ぐことで継続指導につなげ、滞日歴の長短に関係なく、8割以上の生徒が高校進学を実現させている。

【写真】
金曜日の在籍校登校に備えて、時間割の確認をする生徒

審査委員より

初期支援コース「みらい」の活動は、日本語指導の必要な中学生の学校への適応と教科学習への橋渡しを集中的に、効率良く、そして温かなまなざしをもって行われている。「みらい」での活動に日本語教育や主要教科のみならず実技教科の要素を取り入れ、在籍学校での交流を要するタスクは生徒が教師や在籍学校の生徒と相互理解の促進にもつながっている。現段階でも素晴らしい活動であるが、それゆえに「みらい」だからこそ可能となった点、注力や配慮、展開のポイントなど活動の整理と精緻化を試み、他団体も参照できるよう発信されることを期待したい。

プロフィール

初期支援コース「みらい」

【代表者】
築樋 博子

【役 職】
コーディネーター(兼 外国人児童生徒教育相談員)

【活動開始時期】
2018年

【団体所在地】
愛知県豊橋市

【学校(団体)規模・活動参加人数】
○子どもの人数:中学生相当1~15名/10週間の通級指導教室(2018年4月~2021年6月の通級生徒数145名)
○指導者数:「みらい東」教員2名、ポルトガル語相談員1名、タガログ語相談員1名、コーディネーター1名、「みらい西」教員2名、ポルトガル語相談員1名、タガログ語相談員1名、コーディネーター1名
○協力者数(ボランティア等):大学生1名、ゲストティーチャー(指導テーマによる)
○開催ペースやクラス数:年間を通じて開催 「みらい東」「みらい西」双方とも1クラス