博報賞

活動タイトル

三方五湖の自然再生への道を、子ども・地域の人々と共に探る

谷保 裕子

独創性と先駆性を兼ね備えた教育活動|博報賞| キーワード:福井県
谷保 裕子

活動内容

子どもたちと共に学び、活動し、より良い地域をつくる環境保全学習

若狭町の自然環境問題をテーマに、田んぼでの生き物保全活動と水辺環境の探究学習を、勤務校各々の環境に合わせ17年以上行ってきた。総合的な学習の時間を横断的につなげカリキュラム化し、教科学習とリンクさせることで生きた学びを展開している。
三方五湖から産卵のため遡上するフナがいる田んぼと、いない田んぼがあることに子どもらが興味をもったことを機に、田んぼと湖のつながりを探究する学習を開始。専門家に教わった方法で田んぼや近隣の川などの調査・分析を重ね、固有種を保全する条件を考えながら、「自分たちの田んぼを持ちたい! 生き物でいっぱいにしたい!」と田んぼを運営し、得た結果をフォーラムなどで発信している。
休耕田を探して借り受けるのも、「草取り・畦直しプロジェクト」や「フナ料理推進プロジェクト」といった計画を立ち上げるのも、"子どもたち発信"。目的を決め、"その子なり"を活かし、責任をもってのびのびと楽しく参加できる活動を意識して創ることで、主体性を引き出している。熱い想いをもって活動する大人との出会いは、子どもたちの「自分たちは地域社会に参画する『本物』の活動を行っている」という実感となり、さらに探究を深める契機となっている。

【写真】
湖畔の「稚魚養成田」の魚を捕獲し放流する

審査委員より

ラムサール登録湿地であり、地域にある「三方五湖」の環境保全に継続的に取り組んできた。4つの学校での特色ある教育活動は、各教科などを横断的に実践する今日的な教育実践でもあるとともに、総合的な学習の時間を中心とした探究的な学習として展開されてきた。加えて、学校での教育実践のみならず、地域の自然保護団体や協議会にも積極的に参加し、地域に暮らす一人として地域の自然環境を守る活動を継続してきている。地域を支え、地域を創造する人材となって活躍する姿は、多くの子どもの成長に影響を与えるとともに、教員のロールモデルの一つとしても高く評価することができる。

プロフィール

谷保 裕子

【役 職】
若狭町立三方小学校 教諭

【活動開始時期】
2004年

【団体所在地】
福井県三方上中郡若狭町

【学校(団体)規模・活動参加人数】
○子どもの人数:約20名 ○クラス数:1クラス ○協力者(ボランティア等):約20名