博報賞

活動タイトル

舞台活動による地域の歴史や平和学習の教育支援モデル

那覇青少年舞台プログラム

日本文化・ふるさと共創教育部門|-| キーワード:地域の魅力・情報を外部へ発信/ツール作成/ガイド美術/芸術/演劇沖縄県
那覇青少年舞台プログラム

活動内容

沖縄戦の舞台化や那覇の偉人たちの活躍を演じながら、沖縄県人として誇り高く生き抜く人材を育成する。
 地上戦を経験した沖縄でさえ、戦後から時が経つほどに沖縄戦を反省とした平和教育が希薄化していく現状がある。
戦争体験者の高齢化も進み、沖縄戦は過去の遠い記憶として風化しつつあり、若い教員も必要性は認識しつつ、どう教えるかを悩む実態もあった。一方、沖縄県は観光立県を標榜し、観光を主要産業と位置づけているが、琉球王国時代の歴史が長かったこともあり沖縄県の理解について十分な時間を割けず、観光に訪れる県外の観光客の方が沖縄について豊富な知識を持つこともあった。首里城をはじめとする歴史遺産群がユネスコの世界遺産に登録され世界中から歴史文化を訪ねての観光客が増大しているにも関わらず、その対応は観光業界に集中していた。また、全国学力テストでは沖縄県の小中学校生は下位であり、家庭や地域社会において子どものやる気を引出す工夫が必要であった。
 「那覇青少年舞台プログラム」は那覇市文化振興課の主導のもと、沖縄の歴史を理解して地域に貢献し誇り高く生きる人材育成を目的に、那覇市近郊の小中高校生20人でスタートした。沖縄戦や琉球王国の歴史を題材とする脚本を集め、楽しいダンスや歌などを交えた舞台として子どもたちの興味を誘い、子どもたち自身が演じることで積極的に観客の前で芝居をする経験を積ませた。観客の声援を直接肌で感じることで、さらなる向上心につながった。69年前の沖縄戦を題材にした「詩の朗読劇」と300年前の琉球王国時代に創作された「組踊の誕生劇」の二つの舞台公演を中心に活動している。
 現在は小学校5年生から高校3年生まで21校の40人が自分たちで自主練習を重ねながら稽古している。沖縄戦や琉球王国について深く学ぶことはもちろん、舞台表現を練習することで自然と人前で話したり踊ったりすることに自信がついてきたり、自分の想いを自分のことばで話せるようになったり、また、協調性や責任感、自主性やリーダシップを身につけている。

【写真】
体育館で演技指導を行う役者に注目する小学生たち



審査委員より

沖縄の文化と歴史を伝えるべく、子どもたちを中心とした活動を計画的発展的に展開している。指導者の尽力はもちろんであるが、沖縄の心や、よき文化や伝統を子どもたちが主体的に伝えていこうとしているところが高く評価できる。活動に参加する子どもたちだけでなく、このような取組が沖縄の各学校においても行われるように働きかけていくことも今後の課題としたい。

プロフィール

沖縄県 那覇青少年舞台プログラム(なはせいしょうねんぶたい)

【創 立】
2005年

【団体の規模】
○児童・生徒数 : 那覇市近郊の小中高生40名 ○指導者数 : インストラクター3~4名