博報賞

活動タイトル

「埴輪」でつながるふるさと櫟本・人と町

天理市立櫟本小学校

日本文化・ふるさと共創教育部門|-| キーワード:文化財/史跡/遺跡/歴史遺産奈良県
天理市立櫟本小学校

活動内容

「埴輪祭り」を中核にして地域のよさを実感し、誇りを持ってたくましく生きていく児童を育成する。
 櫟本小学校は創立142年の歴史と伝統のある学校である。校区は、古代豪族和爾氏の本拠地であり、東大寺山古墳などからは多くの埴輪が出土している。1998年、学校敷地から古代の埴輪工房跡が発見された。これをきっかけに翌年より「埴輪祭り」が行われるようになった。2004年には「灯火会」も行うようになり、埴輪を中心に学校・地域が一体となって盛大な活動を続けている。地域の温かさを実感する「埴輪祭り」を教育課程に位置付けることにより、学習活動(生活科・総合・社会など)の充実につながり、さらに新たな地域の伝統行事として位置付いてきている。
 冬の「埴輪祭り」は2月、運動場で児童の和太鼓オープニングの後、児童の制作した埴輪の野焼きを行う。「地域ウォークラリー」では、6年生が古墳や神社旧跡などの地域の魅力を下学年や地域の方々に説明する。夏の「埴輪灯火会」は7月、和爾下神社の祇園祭の日に行われる地域の方と協力して埴輪やキャンドルカップを運動場に並べる。図案は児童の応募の中から選ばれる。夜、幻想的な埴輪の灯りが浮かび上がる。学校の屋上も一般開放し、多くの人との出会いやふれあいの時間が流れる。
 2012年度には創立140周年事業を行った。1年生から6年生までがそれぞれのテーマで調べ学習や発表を行った。創作音楽劇「大きな櫟の木」は地域の方から大変喜ばれた。歴代PTA役員の会が結成されるなど、長い歴史とのつながりと地域の方々の熱い想いを知り、本校児童としての誇りを実感した事業である。埴輪を核とした活動を通して地域とともに児童の自己肯定感を育み、いじめや不登校をなくしてみんながわくわくする魅力的な学校作りを進め地域の活性化につなげている。

【写真】
「埴輪祭り」~地域の方と埴輪の野焼き「点火式」



審査委員より

今日求められる、地域に根差し世界へと羽ばたける力を育てる教育のモデル的な実践として高く評価できる。取り組んでいる実践は、すでに学校文化として定着しており、教育課程においてもしっかりと位置づけ発展的に展開されている。特に地域を巻き込んだ取組や全校を挙げての取組、日常的な取組を深められており、高く評価できる。さらに国際的視点からの取組の充実が望まれる。

プロフィール

奈良県 天理市立櫟本小学校(てんりしりついちのもとしょうがっこう)

【創 立】
1872年6月

【学校(団体)規模・活動参加人数】
○児童数 : 339名 ○クラス数 : 19 ○指導者数 : 34名