博報賞

活動タイトル

アメラジアンの子どもたちに対する英語と日本語による「ダブルの教育」の提供

特定非営利活動法人アメラジアンスクール・イン・オキナワ

国際文化・多文化共生教育部門|-| キーワード:母語育成/母文化教育/アイデンティティ確立沖縄県
特定非営利活動法人アメラジアンスクール・イン・オキナワ

活動内容

 AmerAsian School=2つの大文字のAに込めた、アメリカとアジアの文化を等しく尊重し学ぶ理念と実践。
 日本人と外国人の親を持つ、いわゆる「ダブル」の子どもたちを対象とする日本で唯一の教育施設として沖縄にアメラジアンスクールが設立され、今年15周年を迎えた。かつて「公立学校」か「インターナショナルスクール」という二者択一だった現実に対し、国際児のための学級=「ダブルの教育」をという親たちの願いが理念となり、国内外の支援を得て、既存の制度との整合性の改善にも取組みながら、近年では文科省や県から事業の委託を受けるなどその活動は着実に実績を積んでおり、沖縄から発信される新しい学びの姿といえる。
 このアメラジアンスクールで「ダブルの教育」を体験した子どもたちはこれまでに延べ約400人。現在も幼稚園から中学生までの約70人が学んでいる。「ダブルの教育」の目的はアメリカとアジアの文化を等しく尊重し、英語と日本語の両方を学ぶことにより、国籍や文化、ことば、容姿などが周囲とは異なっていても、そのような自分自身を肯定的に受け止め誇りを持って生きていくことのできる力を育むことである。英語による授業と日本語による授業はたんに並列するだけではなく、"ジョイント授業"によってふたつのことばや文化の架け橋として機能し、さらにアメラジアンの子ども同士の出会いと支え合いによって、自尊感情の発達を促している。
 設立15年が経ち、卒業生が成人し、アメラジアンスクールの教員や学童スタッフとして働くなど今の子どもたちとの関わりが生まれている。「自分もあんなふうに働きたい」「高校の部活動が楽しみ」など設立当初彼らが切り拓いた進路が後輩たちをエンパワーしているケースも多く、その助け合いの関係は世代を超えてより深く幅広く培われてきている。

【写真】
日米の教員による理科の授業(5年生)



審査委員より

多文化共生教育、グローカル社会などを語ることは容易いが、その実現は難しい。二つの文化を学び、身につけ、生きる、未来の子どもを育んだ15年は、巣立った子どもと関わった大人の姿、そこで日々改善され続ける教育の営みと学びの姿により、ダブルの教育の一つの姿を示してくれる。沖縄から発信される草の根からの新しい学びの姿、多文化共生社会の教育は、地方から全国へと、教育の革新の必要性を再認させ、その実現可能性を示している。

プロフィール

沖縄県 特定非営利活動法人アメラジアンスクール・イン・オキナワ(とくていひえいりかつどうほうじんあめらじあんすくーるいんおきなわ)
【創 立】
1998年6月1日
学校(団体)規模・活動参加人数】
○児童・生徒数 : 75名 ○クラス数 : 7 ○指導者数 : 常勤10名、パート5名