博報賞

活動タイトル

心と言葉を結ぶ地道で多彩な人間教育の実践

石川 雅春

国語・日本語教育部門|-| キーワード:愛知県
石川 雅春

活動内容

吉良町内の小中学校を中心に勤務し、多彩な教育実践を積み上げている。また、30歳から15年以上にわたり、国語や道徳の指導講師として県内外に招かれるとともに、授業名人としての出張授業、研究発表会での助言者やパネリスト、学会等での実践発表、生涯学習講座講師などを行っている。
 中学3年担任時の「塩狩峠」の実践では、三浦綾子著『塩狩峠』の文庫本を生徒に買い与え、読破させたうえで、現地取材の資料を使い、3年という長いスパンでの授業を実践した。担任と生徒の絆も深まり、現在では、その時の教え子が教師として2名活躍している。また、小学5年担任時の「椋鳩十」の実践では、生涯読書人を形成するという信念を持って、読書指導へと展開する実践を行った。
 つねに人間教育という視点に立ち、とくに心と言葉にこだわり、学級通信を重要な手だてとして実践してきた。小学6年担任時の実践では、住井すゑの随筆「桜模様の茶碗」を学級通信のタイトルとし、福祉や人間理解を学級経営の柱に据え、詩百編の暗唱や文詩集づくりなどに取り組んだ。
 また、国語の研究発表校勤務時は「確かな読み・豊かな読み」を核に、新しい物語文の読みの指導を明確にした。研究推進の手だてとして、週1回以上現職研修通信を配布し、それらをまとめて「吉小の国語ハンドブック」を上梓した。このハンドブックは現場の立場ですぐに活用できるものとして大変好評であり、広く活用されている。
 学校教育以外にも2年間吉良町の派遣社会教育主事として従事し、「吉良コミュニティ通信」を核に、地区のコミュニティ活動推進のために取り組み、「親父の会」5団体設立等の原動力となった。
 現在では、自分の持っている情報を提供する意味で、現場教師向けの「優しさ教室」を1人で開設し、不定期ではあるが「優しさからの国語教室・道徳教室」通信を発行している。

【写真】
習得・活用を重点に置いた新しい授業づくりの提案となる授業



審査委員より

文庫本などを活用した読書活動、詩の読書・創作活動を中心に、学習材開発やマッピングを活用した指導実践などの研究業績が高く評価される。また、道徳教育やコミュニティ活動と連動させた実践も積極的に行い、現代的な課題に取り組んだ成果と認められる。指導者としても地域における国語教育の実践研究の推進に大いに貢献している。