コラム

Vol.102

by ひきたよしあき 2023.12.15

継続のコトダマ

日記をつける習慣は、50年以上になります。
小学生の頃からつけはじめ、かたちはいろいろと変わりながらも、
その日の記録を残すことを続けています。

「すごいなぁ」

とよく言われます。
しかし、自分は、そんなにすごいと思えない。休む日もあるし、
1行しか書かない日もたくさんある。
毎日欠かさずつけているわけではありません。
ひと月丸々書かないときもあれば、1日みっちり3ページくらい
書く日もある。
不安なときほど書きたくなるらしく、分量の多いときは、
「この頃、辛いことが続いたんだな」
とわかります。

なぜ、日記を続けることができるのか。
これには「秘訣」があるのです。

古いテレビ番組で「3日坊主」をテーマにしたものがありました。
夜にジョギングする習慣をつけたいと願う人を調査したものです。
初日は順調に走ってました。

2日目は、待ちきれない感じで、大幅に距離を長くしてました。
3日目は、昨日の無理が祟って、元の距離に。
4日目は、熱が冷めてきて、スピードも落ちました。
5日目に、仕事で少し遅くなったのを理由にリタイア。

「あぁ、5日しか続かなかった」

と言って、その人は走るのをやめました。「5日坊主」だったのです。

別の人も追跡していました。ジョギング歴30年の男性です。
これほど長く続けられる人は、よほど意志が固いのだろうと
思ったら、全く違いました。
雨の日は、休む。気がのらない日も休む。調子が悪いと、コースを短くする。

けして継続しているわけではないのです。休み日も多かったのです。

しかし、彼は休んでも、「私は意志が弱い」などと考えることなく、
また、走り始めます。楽しそうに、その日の気分に合わせて走っています。
彼にとってはこれこそが「継続」なんですね。休んでも、「もうダメだ」と
諦めてしまわない限り、ジョギングを継続したことになるのです。

私の日記も同じようなものです。書いた日も書かない日もあるけれど、
けしてやめることはない。

やめない限り、「継続の神様」は。私たちを許して、見守ってくれるのです。

今年、何かをはじめようとしているあなた。
毎日続けられなかったからと言って継続力がないわけではないのです。

気分が乗らなければやめる。
やりたくなったら、また始める。
そして、何よりやめないこと。気楽にまたはじめることが大切なのでしょう。

マイペースでいいんです。
長くやっていれば、継続は必ずあなたのチカラになってくれるはずです。

  • ひきたよしあき プロフィール

    作家・スピーチライター
    大阪芸術大学客員教授
    企業、行政、各種団体から全国の小中学校で「言葉」に関する研修、講義を行う。
    「5日間で言葉が『思いつかない』『まとまらない』『伝わらない』がなくなる本」(大和出版)、「人を追いつめる話し方、心をラクにする話し方」(日経BP)など著書多数。