児童教育実践に
ついての研究助成

第18回(2023年度)

第18回助成対象一覧
(研究助成期間:1ヵ年2023年4月-2024年3月/2ヵ年2023年4月-2025年3月)

  • 第18回「児童教育実践についての研究助成」は、全国からいただいた79件のご応募の中から、下記の研究を助成いたします。
  • 研究助成期間終了後は、各研究の成果をホームページで公開する予定です。

研究助成期間:1ヵ年

助成対象研究(代表)者 (50音順、敬称略) 研究タイトル(※グループ研究) 研究内容
助成対象研究(代表)者
研究タイトル(※グループ研究)
綾部 宏明(あやべ ひろあき)
京都大学 大学院生
文章題解決を促す図表活用スキル教授法の認知神経科学的検討
川本 吉太郎(かわもと よしたろう)
広島大学大学院 大学院生
日本人学校における教育実践の質的向上に関する領域横断的研究−バンコク日本人学校を中心に− ※
立石 力斗(たていし りきと)
福岡市立生の松原特別支援学校 教諭
知的障がい教育の修学旅行におけるVR教材の開発的研究 ※
吉村 茜(よしむら あかね)
早稲田大学 講師
児童の持つ特徴(運動能力の高低や自信の有無)が体育科授業の運動学習に及ぼす影響~小学校の体育科授業におけるインクルーシブ教育の実現を目指して~ ※

(所属・役職は助成決定時のもの)
(※はグループ研究)

研究助成期間:2ヵ年

助成対象研究(代表)者 (50音順、敬称略) 研究タイトル(※グループ研究) 研究内容
助成対象研究(代表)者
研究タイトル(※グループ研究)
石橋 一昴(いしばし いっぽ)
岡山大学 講師
蓋然性(確率)を表すことばについての言語感覚を育む教科横断型授業のデザイン原理の構築と検証 ※
香月 正登(かつき まさと)
梅光学院大学 准教授
主体化する国語科授業の開発~言葉を学ぶ習慣的思考の育成を核にして~ ※
小林 朋子(こばやし ともこ)
東北大学 准教授
日本語の読書中の視線パターンは、児童の発達特性の評価指標になり得るか?:神経発達症群に関するバイオマーカー探索研究 ※
柴 里実(しば さとみ)
東京大学大学院 大学院生
学習方法の振り返りと改善を促すテストの定量的フィードバックの開発と実践への展開 ※
園部 友里恵(そのべ ゆりえ)
三重大学 准教授
子どもたちの「即興的なことば」を引き出す教職志望学生の養成に関する実践的研究
武田 加奈子(たけだ かなこ)
白百合女子大学 准教授
小学校への接続期における外国人親子支援のための調査・研究 -日本語教育の観点から多文化共生を考える- ※
友永 達也(ともなが たつや)
神戸大学附属小学校 教諭
幼小を貫く「質問力育成カリキュラム(試案)」の開発と有効性の検証
則武 良英(のりたけ よしひで)
川崎医療福祉大学 助教
中学生のテスト不安に対する感情制御方略を促進するための心理教育プログラムの開発
波光 涼風(はこう すずか)
広島大学 大学院生
中学生に対する問題解決訓練による抑うつ予防効果の検討 ※
日髙 玲奈(ひだか れな)
東京医科歯科大学 助教
口腔機能の発達に注目した「ことばの力」支援プログラムの効果検証
松島 恒熙(まつしま こうき)
信州大学 助教
小学校「社会科・国語科」における哲学対話の実践研究 ~ファシリテーターとしての教員養成を目指して~ ※
山田 美都雄(やまだ みつお)
宮城教育大学 准教授
国語科文章教材における「社会的発問」を通じた社会的思考力の育成に関する社会学的研究―中学校の授業実践から― ※

(所属・役職は助成決定時のもの)
(※はグループ研究)

審査総評

 2023年度「第18回 児童教育実践についての研究助成」は、全国より79件のご応募をいただきました。
年齢・キャリア・専門もさまざまな方からご応募いただき、深く感謝申し上げます。
 予備審査・一次審査・最終審査を経て、審査委員会において、本年度は16件の助成を採択いたしました。
昨年に比べ、学校関係の方々からのご応募が減少となりました。依然続いているコロナ禍で、教育現場では対面が復活し、感染対策などの対応に追われて繁忙な状況だと推測いたします。審査事務局といたしましては、大学・研究機関に所属する研究者の方だけでなく、小学校や中学校に所属する教育実践に携わる現場の先生方からのご応募も引き続きお待ちしております。
 今回の研究内容といたしましては、「VR」や「哲学対話」などの研究テーマが多く見受けられました。ただ、研究のタイトルが、研究計画・内容とズレを感じた案件もあり、今後はタイトルのつけ方について、もう少し工夫されることを期待しております。
 本助成金は、教育界あるいは一般市民の皆さんに教育に対する関心・勇気・希望を持っていただくためのプロジェクトです。今回選ばれた16名の方には、この後、しっかりと研究に勤しんでいただくことを願っております。

審査委員長 藤森 裕治(文教大学 教授)

文章題解決を促す図表活用スキル教授法の認知神経科学的検討

綾部 宏明(あやべ ひろあき)

京都大学 大学院生

文章題を解決するためには図表が有効である。しかし,生徒は図表を自発的に作らない,問題に適切な図表を選べない,たとえ選んで作ってもそれを活用できない,という深刻な問題があるため,有効な教授法は確立されていない。先行研究は,認知負荷が自発性を高めること,図表の表現効果が問題との適切性を決定すること,3つの方略知識(宣言的,条件的,手続き的)が密接不可分であることを明らかにした。本研究では,図表の抽象性がもたらす表現効果(イラスト/表/グラフ),3つの方略知識とグラフスキルとの相互関係,これまでの研究知見を応用した授業プログラム開発に取り組む。本研究が完成すれば,図表を活用させるために必要な教授コンポーネントに理論的,実用的示唆を与え,文章題の効率的な解決を促す図表スキルの教授法確立に貢献できる。

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日本人学校における教育実践の質的向上に関する領域横断的研究−バンコク日本人学校を中心に− ※

川本 吉太郎(かわもと よしたろう)

広島大学大学院 大学院生

本研究は、教育学分野の領域横断的な視点により、グローバル化時代における日本人学校の位置づけを明らかにする。さらに、日本人学校の教育実践の質を支える教員の語りを分析・考察することで、日本人学校の教育学的な意義を再定位することを目的とする。
なお本研究では、近年アジア地域、とりわけタイ・バンコクの在留邦人が増加傾向であることに鑑み、日本人学校として最も古い歴史を有し、在籍生徒数も最大規模であるバンコク日本人学校を調査研究の対象とする。
期待される研究成果は二点である。一点目、日本とタイの関連法令の分析を通した、バンコク日本人学校の制度的特質の解明である。二点目、バンコク日本人学校の教職経験者および現地現職教員へのインタビュー調査による、日本人学校における教育実践の質向上のための具体策の提示である。

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知的障がい教育の修学旅行におけるVR教材の開発的研究 ※

立石 力斗(たていし りきと)

福岡市立生の松原特別支援学校 教諭

本研究は、VR(バーチャルリアリティー:仮想現実)技術を活用し、知的障がい教育の修学旅行に関する学習で用いることができる教材の開発を目的とする。
修学旅行は、非日常の中で様々な経験ができる貴重な学習の場である。しかし、未知の空間で旅行することに不安を感じる児童生徒がいる。また、旅行経験の想起が難しい児童生徒もいる。
そこで、安心して修学旅行を楽しんだり、思い出を振り返ったりすることができる教材を開発し、事前・事後学習の分析から、教材の有効性を検討する。研究を通して、知的障がいのある児童生徒がVRをどのように理解するのか、学習が現実場面にどのように転移するかについてもあわせて検討する。 研究成果として、知的障がい教育における修学旅行に関する実践の蓄積のみならず、VR教材の活用可能性を示すことも目指す。

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児童の持つ特徴(運動能力の高低や自信の有無)が体育科授業の運動学習に及ぼす影響~小学校の体育科授業におけるインクルーシブ教育の実現を目指して~ ※

吉村 茜(よしむら あかね)

早稲田大学 講師

本研究は、小学校の体育科授業(以下、初等体育科)に焦点を当て、初等体育科におけるインクルーシブ教育の実現を目指すファーストステップとして、①本邦の初等体育科におけるインクルーシブ教育の実態、②児童の特徴が体育科授業の運動学習に及ぼす影響、これら2点について検討する。本研究により、初等体育科のインクルーシブ教育の実態と児童の特徴(運動能力が高い・低い/運動に対する自信がある・ない)が体育科授業の運動学習に及ぼす影響について明らかにすることができる。本研究成果は、将来的に、現職の小学校教員や教職課程学生にフィードバックすることで還元する。児童の特徴に応じた初等体育科の授業づくりに貢献される内容であり、体育科教育分野において非常に意義深いものと考えられる。

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蓋然性(確率)を表すことばについての言語感覚を育む教科横断型授業のデザイン原理の構築と検証 ※

石橋 一昴(いしばし いっぽ)

岡山大学 講師

本研究は,(1)蓋然性(確率)を表すことばについての言語感覚を育む教科横断型授業のデザイン原理を構築すること,(2)デザインした授業を小学校及び中学校で実践し,その結果を分析することにより,発達段階の差を視野に入れた原理の有効性を明らかにすることを目的とする。まずは文献研究で授業のデザイン原理を構築し,それに基づいて授業デザインと授業実践を行い,回顧的な分析を通して原理を更新する。
授業デザイン原理を提案することで,授業実践を通して実践的に検証された原理に基づいて先生方がそれぞれの教室に応じてより柔軟に授業を実践することが可能になる。また原理に基づいて,当該の研究でデザインした授業以外にも多くの授業をデザインできるようになり,意図している学習目標がより多くの場で実現されるようになることも期待される。

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主体化する国語科授業の開発~言葉を学ぶ習慣的思考の育成を核にして~ ※

香月 正登(かつき まさと)

梅光学院大学 准教授

本研究の目的は、学習者を中心とした「主体化する国語科授業」を開発することにある。国語科授業に、言葉の「何を学びたいのか」「どう学びたいのか」「学んでどうなりたいのか」などの学習者の声を聞き入れ、言語生活者の視点からの国語科授業を実践化する。
主体化する国語科授業の要件として、①学習者が言葉の何をどう学ぶかを決める、②学習者と教師がともに言葉を探究する、③学習者相互で対話する、④学習者が言葉の学びを理解するを設定する。学びを駆動する「問い」に着目し、年間を通した国語学習プログラムや主体化する国語科授業モデルを開発する。
研究成果として、学習者の国語学習意識がどのように質的変化を見せるかを明らかにし、国語科授業の体系化を試みたい。

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日本語の読書中の視線パターンは、児童の発達特性の評価指標になり得るか?:神経発達症群に関するバイオマーカー探索研究 ※

小林 朋子(こばやし ともこ)

東北大学 准教授

小学校入学前後の神経発達症群の児の発達特性を客観的に把握できるバイオマーカーの確立を目的とする。国外では読書中の視線パターンが神経発達症群の児のスクリーニングや発達特性把握に活用できることが検証されているが、国内での報告はない。当研究課題では、7~8歳児の日本語の読書中の視線計測データ解析結果から、神経発達症群の児のスクリーニングに利活用できる指標を探索する。この指標は、読字に係る発達特性を客観的に把握することができるものでもあるため、ことばの教育介入方法の探索や介入後の効果判定にも利活用できる。日本語の読字能力は小学校入学後の全ての学習に影響を及ぼすことから、何等かのことばの問題を抱えている神経発達症群の小学生に対して、教科を越えた学力向上のためのことばの教育に資する研究成果が得られる。

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学習方法の振り返りと改善を促すテストの定量的フィードバックの開発と実践への展開 ※

柴 里実(しば さとみ)

東京大学大学院 大学院生

学習者が自らの学習状況や学習方法を把握して改善する姿は、主体的に学習に取り組む態度として、近年の学校教育で重視されている学習者像である。本研究では、生徒が学習方法の振り返りと改善に取り組むことを支援するテストのフィードバックのあり方を検討する。具体的には、深い理解を促す学習スキルの観点でテスト答案を診断した結果を、生徒にフィードバックすることを試みる。まず、調査で本フィードバックが生徒の学習方法の振り返りに与える影響を検討する。次に、中学校および高校の教師と連携して、フィードバックの活用およびテスト問題の開発に中長期的に取り組み、生徒の振り返りの質や学習方法の変容を縦断的に測定する。最後に、上記の研究で得られた知見をもとに、教師を対象としたフィードバック活用に関するワークショップを開発・実践する。

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子どもたちの「即興的なことば」を引き出す教職志望学生の養成に関する実践的研究

園部 友里恵(そのべ ゆりえ)

三重大学 准教授

本研究の目的は、「インプロ」と呼ばれる即興演劇が、子どもたちの「即興的なことば」を引き出す教職志望学生の養成にいかに貢献し得るのかを検討することである。そのために、本研究では、①インプロを学ぶ学生チーム、②子どもたちを対象としたインプロワークショップ、という2つのアクションリサーチの場を構築する。まず、①において学生たち自身がインプロをワークショップ形式で学ぶ。そして、学生たちが、②の参与観察を通して、子どもたちがインプロを学ぶ姿に触れ、「即興的なことば」の豊かさを体感する。その後、学生たち自身が、②のファシリテーションを少しずつ担っていけるようにする。以上の実践を通して、学生たちが子どもたちの豊かな「即興的なことば」を引き出すファシリテーション能力を獲得していくプロセスを描く。

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小学校への接続期における外国人親子支援のための調査・研究 -日本語教育の観点から多文化共生を考える- ※

武田 加奈子(たけだ かなこ)

白百合女子大学 准教授

在留外国人の増加に伴い、0歳~6歳の外国人の子どもの人口も増加している。彼らは日本の保育園・幼稚園を卒園し、日本語での日常会話は年相応に流暢であるが、進学後、学校文化への不慣れ、文字習得等の遅れから学習言語に支障をきたし、教科学習に困難が生じる場合が多い。また、外国人保護者や保幼小の教職員も子どもの言葉の問題への理解が浅く、対応が遅れてしまう。さらに外国人散在地域では、行政による外国人親子への就学前サポート体制が整っておらず、就学前段階から小学校段階への接続期支援は喫緊の課題であるといえる。よって本研究では2年間の計画で、①散在地域へのサポートを可能にし、②外国人親子、保育士、小学校教諭それぞれに向けたコンテンツを備え、③プレスクールの要素を持った、HP等でのプラットフォームの構築を目指す。

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幼小を貫く「質問力育成カリキュラム(試案)」の開発と有効性の検証

友永 達也(ともなが たつや)

神戸大学附属小学校 教諭

「質問行動」について生田(2004)は「対象からの情報と既有知識のズレを知覚し,そのとき感じる違和感から起こる気持ちを解消するために,自己内で生成した質問を,他者に音声言語として表現し,その質問に対する他者の反応をもとに知識を再構成する能動的な学習活動」と定義づけている。「質問行動」に関する先行研究を踏まえた本研究の目的は2点である。1点目は,幼小接続期にまで対象を広げながら学習者の「質問行動」の実相を分析し,その知見を活かした「質問力育成カリキュラム(試案)」を開発し,これまで十分に焦点が当てられなかった幼児期からの「質問行動」における発達的傾向を踏まえた具体的な指導法を系統立てることである。2点目は,開発した支援の有効性を検証し,教育現場における実現可能性を高め普及を図ることである。

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中学生のテスト不安に対する感情制御方略を促進するための心理教育プログラムの開発

則武 良英(のりたけ よしひで)

川崎医療福祉大学 助教

テスト不安とは,学業の試験に限らず「他者から評価を受ける様々な場面で生じる不安感情」を指します。高いテスト不安は,勉強のやる気の低下,試験中の集中力の低下,スポーツ場面でのパフォーマンス低下など,多くのネガティブな影響を引き起こします (一般的には「プレッシャーを感じたせいでミスをした」とも表現される現象です)。テスト不安は,大人から子どもまで皆が感じる者ですが,中学生で最も高まります。
テスト不安を緩和するためには,不安感情をうまくマネジメントすることが重要です。そこで本研究では,中学生を対象として「テスト不安に対する感情のマネジメント能力を育成するための心理教育プログラム」を開発して,テスト不安を感じる状況でも「自分の力を発揮できる」,「チャレンジできる」ような中学生の育成を目指します。

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中学生に対する問題解決訓練による抑うつ予防効果の検討 ※

波光 涼風(はこう すずか)

広島大学 大学院生

日本の中学生の4.6%が非常に高い抑うつを有しており,学業不振や社会的不適応といった問題との関連が指摘されている。特に,近年子どもの自殺が問題となっており,その原因の1つにうつ病が挙げられていることからも,中学生の抑うつの問題に関して早期に対応する必要性は高いと言える。抑うつの問題に対処するうえで,学級規模での問題解決訓練が有効である可能性がある。これは,クラス全員に対して実施する方法で,対人場面での問題が生じた際に適切な解決方法を導くためのステップをスキル化したものであり,問題に適切に対処できることで心理的不適応の解消を狙う。しかし,これまでの先行研究では十分な有効性が示唆できておらず,長期的な効果についても未検討である。そこで本研究は,中学生に対する問題解決訓練の効果検証を行う。

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口腔機能の発達に注目した「ことばの力」支援プログラムの効果検証

日髙 玲奈(ひだか れな)

東京医科歯科大学 助教

知的障害特別支援学校の児童生徒60名に対して、口腔機能の発達を促す介入を通して「ことばの力」を育む支援を行い、その効果を検証することを目的としている。
知的障害児では口腔機能の発達が不十分なことにより「発語できない」、「発語が不明瞭である」といった課題が多くみられる。本研究では、児童生徒の発語の状態と口腔機能を評価し、対象者に適した口腔機能向上訓練を1年間実施することで発語への影響を検証する。
その結果をもとに発語に関連した口腔機能の評価方法をフローチャートに示し、訓練方法をまとめたマニュアルを作成する。専門職がいない場面でも、教員がマニュアルをもとに評価を行えるようにすることで、早期からの介入が可能となり、口腔機能に焦点をあてた新たなことばの教育方法として活用できると考える。

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小学校「社会科・国語科」における哲学対話の実践研究 ~ファシリテーターとしての教員養成を目指して~ ※

松島 恒熙(まつしま こうき)

信州大学 助教

本研究①の目的は「哲学対話の理論研究に基づく教員(ファシリテーター)養成授業の開発」である。具体的には「哲学対話」の理論研究を反映したファシリテーター養成の授業を定期的に実施し、教育心理学の手法を用いて結果を分析する。研究①の結果から、教員養成課程におけるファシリテーター養成のシラバス案を提案する。
研究②の目的は「小学校社会科・国語科における哲学対話の応用実践」である。具体的には小学校3~4年生の社会科・国語科において「哲学対話」を導入し、教育心理学の手法を用いて結果を分析する。研究③の目的は「小学校社会科・国語科における哲学対話実践のための事例集/教材の開発」である。研究②③の結果から、社会科・国語科の学習指導要領の内容に沿った「哲学対話」の事例集/教材を作成する。

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国語科文章教材における「社会的発問」を通じた社会的思考力の育成に関する社会学的研究―中学校の授業実践から― ※

山田 美都雄(やまだ みつお)

宮城教育大学 准教授

平成29年に改訂され令和3年度から全面的に実施された中学校の新学習指導要領では,「社会に開かれた教育課程」が重視され,また,「社会生活」への寄与が求められている。すなわち,そこでは学校教育の社会的志向性をよりいっそう高めることが目指されている。このことを受け,本研究では,中学校国語科教育の文章教材を用いる授業実践において,具体的な社会的論点を提示する「社会的発問」という手法を新たに提起し,この手法が生徒の社会に対する理解や想像力,さらには社会的思考力の形成に与える影響について,授業実践内の成果物や生徒アンケートの結果等から検証する。これらの検証に際しては,現職の中学校国語科教諭らの協力を得る形で授業実践案を構築し,授業実践の実行可能性を確保する。また,本成果を一つの実践モデルとして発信する。

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