博報賞

活動タイトル

発達障害児支援から発達支援システムの構築と具現化

小西 喜朗

特別支援教育部門|-| キーワード:通級指導/共同・交流学習滋賀県
小西 喜朗

活動内容

発達障害児の成長段階に応じた、個別の指導や継続した支援を行う「発達支援」をシステム化

小学校教員として「ことばの教室」を担当していた1983年頃から、通常学級で対人関係の行動や学習に課題を示す児童が散見されはじめ、小学校担任に学習障害のチェックリストを実施したことが学習障害の存在と理解を啓発することとなった。滋賀県では、幼児期から学齢期にわたり通級指導が可能なしくみになっており、幼児期の特異な発達過程を示す事例から学齢期の課題を示唆し、支援の継続を行うが、そこで保護者から「支援内容の品質管理(内容の改善・継続・再現)の方略」の構築を指摘されたことが、この活動を始めるきっかけとなった。
その後も発達障害児支援の実践研究に取り組み、2001年から4年間甲西町教育委員会学校教育課指導主事、2007年から3年間湖南市健康福祉課発達支援室参事兼学校教育課参事として、幼児期から青年期まで、教育、福祉、保健、就労、医療等の関係機関の横の連携による支援と、「個別の指導計画」での縦の連携による支援を行う発達支援システムの構築にかかわり、事業展開の中心的役割を担った。
この発達支援システムでは、幼児期・学齢期・青年期と成長する過程で、それぞれの教育的ニーズを的確に把握し、その時々の困難にどうかかわり、寄り添って支援していくかが中心となる。幼児期・学齢期は、通級指導教室での個別指導に加え「担任への相談・支援」「保護者への相談・支援」や「それぞれの関係調整への支援」が必要になり、青年期になると、自己実現、自己有能感、障害受容など、本人の生き方について一緒に考えていくことになる。また「個別の指導計画」(当初は個別の教育計画)を作成し、それぞれのライフステージで関係機関と連携。必要な支援をどう組んで、どうつないでいくか、その支援内容の再現性を見守り、支援の継続性を実現する。
親と子に寄り添い、その時々の支援を通して、自分に合った学び方に気づき、手応えを感じていくことで、自分が自分であることに自信をもち、自尊感情が高まって、自己実現に向かうことができる子どもが増えてきている。

【写真】
自分と相手の希望の折り合いをつけていく生活体験学習

審査委員より

滋賀県において、発達障害の子どもの教育に長年に渡り先進的に取り組んできた。特に、通級による指導の担当の後、教育委員会の指導主事、国立大学附属特別支援学校の副校長、そして現在は公立小学校の校長として、様々な立場で、発達障害をはじめ特別支援教育の充実発展に大きく貢献した。これまでの発達障害教育や特別支援教育に関する実践や研究は、全国的な学術誌、著書、教育雑誌等に掲載され、全国的にも注目され続けている。

プロフィール

滋賀県 小西 喜朗(こにし よしお)

【役 職】
甲賀市立甲南中部小学校 校長

【勤務校所在地】
〒523-8100滋賀県近江八幡市長田町425
TEL:(0748)-37-0690 FAX:(0748)-37-0690
E-mail:konishi-0425@za.ztv.ne.jp