博報賞

活動タイトル

特別支援教育推進の支援システム構築と特性に沿った通級指導の工夫・普及の研修推進

山田 充

特別支援教育部門|-| キーワード:大阪府
山田 充

活動内容

 特別支援教育を進めていく上で、課題となるのは保護者や子どもたちが抵抗感なく支援を開始することである。学校が先行して支援を検討し保護者に伝達するという形では、保護者にとって「寝耳に水」の連絡となり、協力を得ることが難しいケースも多い。また支援を受ける子どもたちにも個別支援を受けることに抵抗感が生じやすく、具体的な支援に進まないケースが多い。
 これらの課題を乗り越え、保護者に抵抗感なく支援のテーブルについてもらうために工夫したのが、教育相談から始まる「子ども支援委員会」のシステムである。教育相談を取り入れること、保護者とともに担任が一緒に相談する側に回り、保護者の抵抗感をなくすことに力を注いだ。この結果、年間30名を越える教育相談があり、7年間で200名を超える子どもの支援を実施している。教育相談の最後には、基本的にWISC-?の検査をすすめて実施する(現在はWISC-?検査を実施)ようにし、ほぼ全員に発達検査を含めたアセスメントを実施することが出来る支援システムとなっている。毎月定例で開催される子ども支援委員会では、保護者からの幼少時の様子などを含めた情報とWISCなどの発達検査結果と合わせたアセスメント情報をもとに具体的な支援方針を決定している。この支援方針を保護者に提示し、同意の上で、7割から8割の子どもたちに通級指導教室での個別支援をすすめている。
 通級指導教室で支援を受けている児童が自校通級で約50名いる。(他校通級も約50名)子どもたちへの支援は、遅れている学習の補助ではなく、子ども支援委員会が明らかにした認知や行動の特性に沿ったトレーニング中心に行っている。「漢字イラストカード1年~5年」などを含めて、様々な子どもの興味関心や特性に沿った教材を開発し活用している。子どもたちは通級指導教室をとても楽しみにし、クラスに複数いる通級児童が喜んでみんな一緒に通級してくるのが特徴である。
 これらのシステムの普及のために、堺市の推進リーダー育成研修や他の研修会での紹介、見学依頼に応えることも積極的に行っている。

【写真】
辞書を使って、熟語などを調べて書く漢字の学習



審査委員より

小学校の通級指導教室において、発達障がいのある児童の指導方法を工夫し、様々な手法や教材教具の開発に取り組んできている。また、地元の教師の研修会の運営などにもかかわり、特別支援教育にかかる人材の専門性向上にも取り組んでいる。開発した教材の発信、講演活動、研修会活動は、全国に及ぶ。

プロフィール

大阪府 山田 充(やまだ みつる)
役 職:堺市立日置荘小学校 首席(教諭)・特別支援教育コーディネーター・通級指導教室担当