コラム

Vol.81

by ひきたよしあき 2022.03.15

断りのコトダマ

中学、高校、大学に進学すると、
部活動やサークルに誘われます。

先輩たちが寄ってきて、

「陸上部、キツくないよ。
楽しいよ」

「英会話サークルに入らない」

とチラシを持って寄ってくる。
中には強引な人もいて、その場で
決めさせようとしたり、無理やり
仲間のいる部室に連れて行こうと
する人もいます。

はじめのうちは人気者になった
ように思える。

「あぁ、この学校楽しそうだな」

と幸福感を感じる。
「どこに入ろうか」と相談することで
友だちができたりもします。

しかし、楽しいのはここまでです。
四方八方にいい顔をした結果、

「断る」

ことをせざるを得なくなる。

それができずにいると、先輩に
見つからないようにコソコソ動いたり、
心では「行きたくない」と思っているのに
おつきあいで見学に行くようなことに
なってしまいます。

「断る」

これができるかできないかで
学校生活は変わります。
自分が自分らしく暮らすためにも
ぜひ、断り方を学んでおきたいものです。

私がおすすめする方法は、実に
シンプルです。

「申し訳ないですが」

と、断るための慣用句を頭につけて
話しはじめること。

「申し訳ない」は丁寧な謝罪のときに
使う言葉です。相手を敬う気持ちが
入っています。

「申し訳ないですが・・・」

と切り出せば、相手は、

「あぁ、断るんだな」

とわかります。

断ることができないのは、
断る理由を考えようとするから。

「時間がない」「自信がない」
「ほかにもっとやりたいものがある」
「先に誘われていたものがある」

などとあれこれ思いつきます。
でも、相手にとってこのくらいの
理由を跳ね返すのは簡単なこと。
多くの人が似たような理由で断って
くるので、対策を十分もっているはずです。

大切なのは、「断る理由」ではなく、
「断る意思」を見せることです。

「申し訳ないけれど、ほかの部にいきたいです」

と言う。色々言われても、

「申し訳ないです。もう決めちゃったので」

を繰り返す。多少、嫌なことを言われても、
そこは耐える。下手な理由や言い訳を言わない
ことです。

こうして一度でも「断る」ことをやると、
自信がつきます。

「断りのコトダマ」があなたを助けてくれる
ようになる。

「悪いけれど」「誠に申し訳ありませんが」
「せっかくですが」「失礼ですが」
「すみませんが」

と様々な「断りのコトダマ」を使って、
自分らしい生き方ができるようになります。

新学期に備え、期待と不安が入り乱れている
人も多いでしょう。
ぜひ「断りのコトダマ」の準備も忘れずに。

今から備えておけば、きっと新生活は
楽しくなりますよ。

  • ひきたよしあき プロフィール

    コラムニスト。
    明治大学で教鞭をとるかたわら、朝日小学生新聞にコラムを連載、読者である子どもたちとの文通も行っている。
    著書に、「大勢の中のあなたへ」(朝日学生新聞社)、「5日間で言葉が『思いつかない』『まとまらない』『伝わらない』がなくなる本」(大和出版)等。