博報賞

活動タイトル

高次脳機能障害の子どもたちの支援~ガイドブック作成と活用~

神奈川県立秦野養護学校 院内学級「かもめ学級」

特別支援教育部門|-| キーワード:高次脳機能障がい神奈川県
神奈川県立秦野養護学校 院内学級「かもめ学級」

活動内容

高次脳機能障害の子どもたちが自信をもって楽しく安心して学校生活を送るためのガイドブックを

 秦野養護学校・C部門(かもめ学級)は、神奈川リハビリテーション病院内に設置されている院内学級である。この病院には、脳損傷の後遺症で高次脳機能障害を負った子どもたちが多数入院し、かもめ学級に転学してくる。高次脳機能障害によって現れる症状は、一人ひとり様子が異なり「百人百通り」であるが、退院後の学校生活に大きく影響するものが多い。そのため、本校では医師や臨床心理士、作業療法士などの専門職からアドバイスを受けながら、復学後の生活や学習を見据えた取り組みを行い、その情報を転学先の学校と共有し、スムーズに復学できるよう配慮している。
 退院後、先生方や保護者に理解を促し、適切な支援を受けて子どもたちが安心して無理のない生活を送れるために『小児の高次脳機能障害・支援ガイドブックチェック リスト付』を作成した。実際に日々高次脳機能障害の子どもたちに接している学級職員や臨床心理士から見て、子どもたちによく見られる症状やその症状ごとの対応をわかりやすい文言でまとめ、「事例集」も盛り込んでいる。指導の際にガイドブックを活用し、どのような症状の子どもにはどのような指導・支援を行い、その結果どのような変化が見られたかということを「ガイドブック活用表」に記入する取り組みも行っている。
 ガイドブックは、保護者や学校関係者、更には近隣の学校や相談を受けた方々にも配布している。また、ホームページからもダウンロードできるようにし、活用の範囲を広げている。現在は、作成する過程で得た知識や取り組みの成果も含め、毎日の指導やガイドブックをどう活かしていくか、活かしてもらうかということについても研究を進めている。ガイドブックを配布した保護者や学校関係者へのアンケート調査で寄せられた感想や意見を今後の指導やガイドブックを広める際の参考にし、改訂版や「事例集」の作成につなげるため、日々研究を積み重ねている。

【写真】
一人ひとりの実態に合わせ個別・集団授業を組み立てる



審査委員より

高次脳機能障害は対象児が少なく障害像も複雑であり、一般に理解され難く対応も難しい。本学級は、このような子どもたちに直接対応する教員や一般の教員、また保護者等が当該児への的確な対応を容易に理解できるよう、医師、心理士等関連専門家と密接に連携しながら長年尽力し、効果的な指導・支援のためのチェックリストやガイドブックを作成した。

プロフィール

神奈川県立秦野養護学校 院内学級「かもめ学級」(かながわけんりつはだのようごがっこう いんないがっきゅう かもめがっきゅう)

【創 立】
1958年

【学校(団体)規模・活動参加人数】
○児童・生徒数 : 89名 ○クラス数 : 26 ○指導者数 : 72名