博報賞

活動タイトル

学校・家庭・地域が一体となった郷土芸能伝承活動

盛岡市立乙部中学校

日本文化・ふるさと共創教育部門|| キーワード:岩手県
盛岡市立乙部中学校

活動内容

 郷土芸能発表会は、乙部中学校区の各地域に伝わる郷土芸能を、全校生徒が練習を積み重ね、年に一度地域住民に披露するものである。伝承している郷土芸能は、「澤目獅子踊り」「乙部さんさ踊り」「手代森念仏剣」「黒川さんさ踊り」「法領田獅子踊り」「手代森さんさ踊り」「黒川田植踊り」「城内さんさ踊り」の8つを数え、生徒は自分の住んでいる地区の踊りを練習し、発表している。発表会は毎年8月の夏休み明けの日曜日に、乙部中学校校庭を会場に開催され、地域住民も毎年楽しみにしており、地域に深く根付いた行事となっている。
 郷土芸能の生徒への指導は、学区内の各郷土芸能保存会の方々が行っている。保存会の方々の郷土芸能に対する思いや情熱を受け、生徒は意欲的に練習に取り組んでいる。生徒の保護者は、交代で練習会場に行き、練習の手伝いや生徒の送迎等の世話をしたり、衣装の着付けを担当したりしている。
 学校の教職員は、8つの郷土芸能のいずれかに所属し、郷土芸能の歴史や踊り方を学び、夏休みの練習にも参加し、生徒の指導にあたっている。
 各地区の中学1年生から3年生までが一緒になり、郷土芸能の練習を行う。下級生は、上級生の踊りを見て踊り方を学び目標にすると共に、下級生としての役割を自覚し、協力して努力することを学んでいる。上級生は、伝統を受け継いでいくという責任感と少しでもよいものを作り上げようとする向上心、全体をまとめ活動を推進していこうとするリーダー性や行動力等を培っている。このような異年齢集団による活動を教師・保護者・保存会の方々が支え、礼儀や練習態度等の基本的な習慣の指導も行っていることから、生徒の健全育成を図る活動として、大きな役割を担っている。

【写真】
郷土芸能発表会 各地区のテントに囲まれて踊る黒川田植踊り



審査委員より

30年以上にわたる学校・家庭・地域が一体となった活動であり、特に生徒の意識に強く根付き、世代間で受け継がれ、学社連携・融合の一つのモデルを提供している。4つの発展的ステージを考え、活動の広がりを海外にまで求めていることも高く評価できる。中学校における地域との連携、生徒会を中心とした学校の伝統を継承発展させる取組という側面からも、全国に発信できる実践である。

プロフィール

岩手県 盛岡市立乙部中学校(もりおかしりつおとべちゅうがっこう)
【創 立】
1947年
【学校(団体)規模・活動参加人数】
児童・生徒数:295名
クラス数:10(特別支援学級1含む)
指導者数:教職員27名、郷土芸能指導者45名