博報賞

活動タイトル

病気の子どもを支援する教育ツールの開発~病弱教育支援冊子プロジェクト~

全国特別支援学校病弱教育校長会

特別支援教育部門|| キーワード:東京都
全国特別支援学校病弱教育校長会

活動内容

 病気治療中、治療後の子どもが、地域の学校で不安なく豊かな日々を過ごせるようになることを目標に、学校関係者が病気を理解し、適切な対応ができるための情報提供をする支援冊子「病気の子どもの理解のために」を作成し、全国に普及した。現場の教員の目線で病気が理解でき、学校生活で生かせる対応方法をまとめるために病弱特別支援学校の教員が中心になって「学校現場で生かせる」「病気の素人にも分かりやすく病気が理解できる」「正確な医療情報を」を合ことばに作成した。現在、身体編、こころ編の総論と白血病、脳腫瘍、筋ジストロフィ-、糖尿病、腎疾患、ペルテス、もやもや病、色素性乾皮症、肥満、喘息、アレルギー、心疾患、てんかん、ムコ多糖症、先天性胆道閉鎖症、血友病が作成されている。今後も患者数の多い疾患から作成を続けていくが、希少疾患の作成も並行して取り組んでいく予定である。
 全国の病弱校の教員が集まって編集会議を行うことが困難なため、WEB上で編集し、テレビ会議を活用して執筆を進めるシステムを模索した。国立特別支援教育総合研究所の支援の下、試行錯誤の結果、執筆者の情報リテラシーを向上させるノウハウが蓄積され、執筆にかかる費用や執筆者の負担を大幅に減らすことに成功し、予算面での事業の継続性が担保できた。副次的に学校現場の情報発信力も向上するという効果も生まれた。多くの学校にお届けできるようにWEB上での情報提供を原則とした。しかし、この支援冊子の存在そのものが十分周知されなかったため活用が進まなかった。そこで2010年度には、印刷製本し全国の学校に周知したところ12,000部の注文があり、活用が一気に進んだ。全国の学校から「大変分かりやすく読みやすい。今後も更に病種を増やして続けてほしい」「入門書であるばかりでなく、専門性を深め広げることのできる冊子」「病気の理解に終わらず、病気の子どもの理解に資する冊子」とのことばをいただいている。今後も、病気の子どもが生き生きと健やかに学校生活を過ごせるために執筆と普及に努めていきたい。

【写真】
「支援冊子」で検索。インターネットで閲覧可能な、様々な病気に関する「支援冊子」



審査委員より

教育の場が多様であり、対応する専門教員が得がたい状況にある病弱教育の状況を踏まえ、この教育に携わる教員や養護教諭に、病気や病弱教育のシステムを効果的にまた分かりやすく説明するICT教材を医療との連携により作成した。また、Webを利用して作成・公開することにより、この教育の多様なニーズに的確に応えている。

プロフィール

東京都 全国特別支援学校病弱教育校長会(ぜんこくとくべつしえんがっこうびょうじゃくきょういくこうちょうかい)
【創 立】
1957年
【学校(団体)規模・活動参加人数】
加盟学校数:病弱児童生徒を入学対象にする特別支援学校74校
参加人数:病弱特別支援学校長74名(オブザーバー参加校を含む)