Research reporting Sessions

第13回懇談会・懇親会(2018年10月)

2018年10月8日(月・祝)10:00~
東京コンファレンスセンター・品川

第13回懇談会・懇親会が開催され、9月に来日した長期招聘者12名による自己紹介と研究についてのプレゼンテーションが行われました。

第13回招聘研究者

 

第13回招聘研究者の方々(長期)を、今後の滞在研究への抱負とともにご紹介します。(姓50音順・敬称略)

 

 <日本語・日本語教育研究>

 

ALAM Mohammed Ansarul

(アラム モハメッド アンサルル)

ダッカ大学 現代言語研究所・准教授(バングラデシュ)

『在日バングラデシュ人が直面する問題に焦点を当てた調査研究─バングラデシュの日本語学習者のためのケース教材の作成を目指して─』

 

「私はもともと国際関係学を専門としていましたが、日本語に出会って恋に落ち、バングラデシュで日本語教師になりました。宗教の違いなどもあり、バングラデシュ人にとって日本での生活はいろいろと困難があります。そうした問題を丁寧に調べて、母国での授業に活かしたいと思っています」 

 

 

OZBEK Aydin

(オズベッキ アイドゥン)

チャナッカレ・オンセキズ・マルト大学 教育学部 日本語教育学科・准教授 学科長 言語応用研究センター長(トルコ)

『日本語とトルコ語におけるテンス・アスペクトの諸相及び証拠性・ミラティビティ現象の対照研究』

 

「私は2008年に日本で博士課程を修了し、トルコで日本語を教えながら対照言語学の研究をしています。トルコ語と日本語は似ているといわれますが、異なっている部分も多くあります。対照研究で得た成果を、日本語教育に役立ていくことが私の研究の大きなテーマです」

 

 

羅 曉勤(ラ ギョウキン)

銘傳大学 応用日本語学科・准教授(台湾)

『海外における日本語ビジネス人材育成へのケースメソッド教授法の導入─台日両域を調査対象としたケース教材の開発とその応用を中心に─』

 

「今回の滞在研究では、ハーバード ビジネス スクールが始めた『ケースメソッド教授法』を日本語教育の場で実践するために、日本で就職した台湾人が日本で経験する様々な異文化体験の収集をする予定です。仕事での人間関係や生活面でのケースをできるだけ多く収集し、研究に役立てていきたいと思います」

 

 

劉 佳琦(リュウ カキ)

復旦大学 外国語言文学学院 日語語言文学系・准教授、日語語言文学系副主任(中国)

『中国語母語話者における日本語音声習得の実証的研究─知覚と生成の相関性を中心に─』

 

「私は音声学者として10年近く日本語教育に携わっていますが、近年、発音の指導を中心に新たな問題意識が芽生えるようになり、今回の滞在研究を希望しました。この機会を活かして、興味のある先生方の授業にいろいろ聴講を申し込んでいます。多くの先生方とこれから交流できることを楽しみにしています」

 

 

 

 <日本文学・日本文化研究>

 

 

ADAL Raja(アダル ラジャ)

ピッツバーグ大学 歴史学部日本史・助教授(アメリカ)

『アジアにおけるタイプライターの世紀:権威、美学、そして書の機械化』

 

「私の研究では多くの資料を分析する必要があり、ひとりで全てを読むことはできないので、パソコンを使って資料を全体的に分析することを考えています。全体のアーカイブを、マイクロレベルから見るだけでなく、マクロのレベルからも見ることで見えてくるものもあると期待しています」

 

 

KELIYAN Maya Bedros

(ケリヤン マヤ ベドロス)

ブルガリア科学アカデミー社会 知識研究所・教授(ブルガリア)

『日本とブルガリアの地域社会における祭礼比較を通して』

 

「私の研究テーマは日本の地域社会の祭礼なので、祭りだけではなく、保存会や婦人会など日本の地域社会について知りたいことがたくさんあります。1年間は長いようで、あっという間に過ぎてしまうものなので、時間を大切にして研究を進めていきたいと思っています」

 

 

SHEVTSOVA Galyna

(シェフツォバ ガリーナ)

キエフ国立建設・建築大学 建築学部、建築基礎とデザイン学科・教授(ウクライナ)

『日本の歴史的なまちの再開発における経験:ウクライナでの活用』

 

「日本に来て、いろいろな街の再開発や活性化の方法について研究するのは昔からの夢でした。今は、子どもがおもちゃ屋に入ったような気持ちです。わくわくして、どれから選ぼう?という感じですね。来日前に準備をして、目的の街にはすでに知り合いがいて、今月はこの街、来月はこの街、というようにスケジュールを立てて研究を進めていく予定です」

 

 

都 基 弘(ト キ ホン)

韓南大学校・非常勤講師(韓国)

『室町時代の食文化における匙の基礎的研究─有職故実・料理の記録を中心に─』

 

「6年ほど前、韓国の学生から質問されたことがきっかけで日本のスプーン文化に興味を持ちました。私が生活している大田(テジョン)はソウルまで車で2時間かかり、資料ひとつ見るのも大変です。(受入機関の)早稲田大学では、韓国の国会図書館の貴重書室においてあるような本が普通に閲覧でき、非常に恵まれた環境です。滞在中、図書館にある関係書籍には全部目を通したいと思っています」

 

 

唐 権(トウ ケン)

華東師範大学 外国語学院 日本語学科・助教授(中国)

『文化文政期における来舶清人と日本漢学者との交流に関する研究─蘇州・長崎・京都・江戸文人ネットワークの誕生と展開─』

 

「今回の滞在研究では、当時の様子を反映する記録や資料がどこにあるのか確かめて、収集して、資料集をつくることを目指しています。その上で新しい江戸時代の文化像を打ち出したい。1年間でどこまでできるかわからないけれど、やれるところまでやってみたいと思っています」

 

 

BRIGHTWELL Erin Leigh

(ブライトウェル エリン リー)

ミシガン大学 アジア言語文化学部 日本古典文学・助教授(アメリカ)

 

『中世の「鏡物」と歴史叙述:日本の長い13世紀における末世と神国思想』 「私は博士課程の時に立教大学で1年半、研究を行いました。今回、再び日本に滞在して研究する機会をいただき、非常にうれしくてわくわくしています。今回の研究は、写本の調査に焦点を当てたいと思っています。これは日本だけで行える研究活動ですから、成果に非常に期待しています」

 

 

山本 直樹(ヤマモト ナオキ)

カリフォルニア大学 サンタバーバラ校 映画・メディア学科・助教授(アメリカ)

『京都学派と日本の視聴覚メディア理論史との相関関係』

 

「今回の滞在研究では、日本へ研究に来るさまざまな人たちとネットワークをつくり、みんなでプロダクティブなものを得られるような環境を作りたいと思っています。ひとりで研究をしていると、なかなか成果が出ないこともありますが、そんなときに知的に刺激を与えられるような環境、場をつくることは重要なことだと思っています」

 

 

李 銘敬(リ メイケイ)

中国人民大学 外国語学院 日本言語文学部・教授(中国)

『日本仏教文芸と唐宋文献との交渉関係に関する研究』

 

「私はこれまで十数年間、日本で留学・研究をした経験がありますが、今回の日本滞在は十数年ぶりになります。私の研究テーマは資料の多くが古写本で、所在がはっきりしないものや本人が手続きをしないと閲覧できないものも多く、十数年間ぶりにこうした資料を調査・整理できる機会をいただいてとても嬉しく、やりがいを感じています」

 

 

 

 当日は、各研究者の受入担当教授、受入機関窓口の方々にもお集まりいただき、自己紹介とともに、研究者へ寄せる期待についてお話しいただきました。

 審査委員の挨拶では、まず井上 優審査委員長から、研究者の研究に対して個人的に関心を持っていること、専門分野は違えど同じ研究者として身近に感じている部分などについて一人ひとりへ向けたコメントがあり、今後の研究について期待・激励の言葉がありました。そして、井島 正博委員、田中ゆかり委員から、これからの研究の進展への期待とともに、報告会での発表について自身の実体験をもとにしたアドバイスなどが寄せられました。

 懇談会の後は懇親会を開催し、これからともに日本滞在研究を行う研究者、受入担当者、審査委員と、様々な研究分野に携わる研究者同士、活発な意見交換を行いました。

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研究報告会レポート

中間報告・研究終了後の「研究報告会」や、来日直後に行われる「交流会」の模様をレポートしました。