博報賞

活動タイトル

通級指導担当教員が実施する児童の障がい理解を深める教育活動

安里 健志(大和高田市立浮孔西小学校 教諭)

特別支援教育|奨励賞| キーワード:奈良県
安里 健志(大和高田市立浮孔西小学校 教諭)

活動内容

「自分研究」が支える、共に学ぶ、共に生きる学校づくり

 通級指導を利用する児童の中には、周囲の児童に対して強い不安を感じていることがある。周囲の児童も通級による指導とは何か、なぜ利用しているのか説明もないため、自分とは異なる特別な存在と受け止めてしまうことがある。安里健志氏は、それらの課題に大きく二つの方向から実践を進めてきた。一つは、通級指導において、自分の特性と向き合いながら自分なりの方法で課題解決を図ることのできる力を育成する専門性の高い指導である。もう一つが、自作絵本の活用をはじめとした通常の学級での発達障がいの理解啓発学習である。「学級のみんなに自分のことや自分が学習していることを知ってほしい、もっとみんなと仲良くなりたい」という通級利用児の願いをきっかけに、「教室で学んでいること、学んでみて良かったこと、自分の苦手なことと得意なこと、なぜ教室を利用しているのか、みんなに分かってほしいこと」を自分のことばで紹介する。また、学級全体で「自分研究」を行い、それぞれの児童が自分に内在する「自分キャラクター」を言語化して交流を行う。それらの取組が、通級利用児の自信や級友との関わりを向上させるとともに、周囲の児童、教員、さらに学級通信を通して保護者の変容を促し、インクルーシブな学びの場づくりに貢献している。

【写真】
通級指導教室での勉強の様子

審査委員より

 通級指導の対象となる児童生徒が急増する中、全国で取り組みたい優れた実践である。毎日の学習や生活の中で困難を経験している発達障がい児が自分と向き合うことは容易ではない。しかし、専門性の高い指導の中で自分への気づきを高めるとともに、自分にとって通級指導教室で学ぶことの意味づけが行われている。通級指導を利用する児童の願いをもとに、波及効果の高い発達障がいの理解啓発学習を教育課程に位置づけて実施していることも評価できる。小学校低学年や中学校での実践を積み上げ、系統的な障がい理解教育プログラムの開発を期待したい。

プロフィール

安里 健志

【所属先役職】
大和高田市立浮孔西小学校 教諭

【活動開始時期】
2021年

【所在地】
奈良県大和高田市

【HP】
https://researchmap.jp/takeshi_yasuzato

【学校(団体)規模・活動参加人数】
○子どもの人数:全体30名(内訳)小学生30名
○指導者:内部1名
○開催ペースやクラス数:小学2~6年生を対象、年6クラス程度