
活動内容
村の宝「大鹿歌舞伎」を受け継ぐ中学校の実践を未来に
およそ300年にわたり伝承されている国の重要無形民俗文化財「大鹿歌舞伎」に中学生が関わり50年、学校と地域が一体となり継続してきた教育活動である。始まりは昭和50年、女子8名の歌舞伎クラブが紆余曲折を経ながらも、教職員、保護者、地域の歌舞伎関係者らに支えられ、全校生徒(現在は28名)で上演する「大鹿中学校歌舞伎公演会」を実現している。本実践は、歌舞伎学習を通じて地域の伝統文化を理解し、守り伝えることを目的としている。生徒自身が課題を見つけ、主体的に解決に取り組む姿勢を大切にすることで、大鹿歌舞伎継承者の育成という側面も担っている。
台詞や所作などの型を学びながらも自分なりに表現を模索する過程で、自己理解と他者理解が深まり、自信をもって自己表現する力が育まれる。全校練習では、演技を見守り応援する温かな雰囲気が形成され、安心して挑戦できる環境が整っていく。役者のみならず裏方の役割にも全生徒が関わることで、互いの努力や個性を尊重する姿勢が醸成される。これらは、舞台上だけでなく日常の学校生活の充実と豊かさに直結している。地域への「恩返し」として、公演会場の神社や練習に使用した地区館を全校で手分けして清掃する活動(生徒会提案)からも学びの幅広さがうかがえる。
【写真】
夏休み中の化粧講習会で役になりきる
審査委員より
50年にわたり中学生による歌舞伎を支えてこられた地域の教育力、生徒一人ひとりが自信をもてる充実した学び、少人数の生徒数という課題を乗り越え、持続可能な仕組みで公演を続けられてきたことが高く評価された。大鹿中学校における歌舞伎の取組は、生徒がふるさとの伝統に誇りをもち、地域の人々の支えを受け止め、自身の主体性や内面の成長を育む確かな教育活動と言える。まさに地域と学校が連携して教育を進めるコミュニティ・スクールのモデルとなる。未来につなぐバトンということで、今後への期待も高まる。
プロフィール
大鹿村立大鹿中学校
【代表者】
田代 博子
【役 職】
校長
【活動開始時期】
1975年
【団体所在地】
長野県下伊那郡大鹿村
【HP】
http://ooshikajh.vill-ooshika.info/
【学校(団体)規模・活動参加人数】
○子どもの人数:全体28名(内訳)中学生28名
○指導者:外部4名
○協力者(ボランティア等):50名
○開催ペースやクラス数:練習は4月から9月下旬又は10月上旬、発表は年1回




