博報賞

活動タイトル

ふるさとをことばで継ぐ子どもたち
~郷土作家を起点とした物語創作と文学交流~

岩舩 尚貴(柏崎市立南中学校 教頭)

国語教育|博報賞| キーワード:新潟県
岩舩 尚貴(柏崎市立南中学校 教頭)

活動内容

多様なことばの学びや主体的な学びを実現する、郷土作家を起点とした国語科の実践

 岩舩尚貴氏の「ふるさとをことばで継ぐ子どもたち~郷土作家を起点とした物語創作と文学交流~」は、社会の変化に伴い子どもたちと地域との関わりが減少し、地域への誇りや愛着が希薄化することや地域文化の継承が危ぶまれていることなどの問題意識を出発点とした中学校国語科の実践である。
 この実践における言語活動は、子どもたちの学校の所在地である新潟県上越市出身の作家、小川未明や杉みき子を取り上げてのブックトークやデジタルコンテンツの制作、物語創作や他校との文学交流など多岐にわたる。郷土作家の作品の読解にとどまらず、作品の文体や表現特徴を分析したうえで、地域の方にインタビューを行うなどにより郷土の文化や方言を学び、それらを自らの物語創作に活かしたり、創作した物語の朗読会を開いたりするなど、「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」を含む国語科の3年間の学びとして位置づけられ、子どもたちの主体的な学びを引き出している。また、地域の図書館との連携や、宮沢賢治の出身地である岩手県の中学校との文学交流など、学校にとどまらない開かれた学びが実現されている。
 アンデルセンゆかりのデンマークの学校との文学交流といった国際交流への広がりを有する実践は、郷土作家を起点としたグローカルな実践と言えよう。

【写真】
下級生に小川未明作品についてブックトークする様子

審査委員より

 個人の活動ではあるが、学校全体、さらには学校を超えた広がりのある活動となっている点、また、郷土作家を起点としながらも、作品の読解にとどまらず、物語を創作したり、他県や海外の同世代の生徒と意見交換を行うことで同様の作家や作品とを比較分析したりといった、多様なことばの学びが実現されている点が高く評価できる。全国には、地域にまつわる文学作品や地域に根ざした行事などが多く存在する。岩舩尚貴氏の実践は、それぞれの地域に応じて再構成が可能であり、他の教育現場にとって多くの示唆を得られる実践である。

プロフィール

岩舩 尚貴

【所属先役職】
柏崎市立南中学校 教頭

【活動開始時期】
2021年

【所在地】
新潟県柏崎市

【HP】
https://www.kenet.ed.jp/minami/

【学校(団体)規模・活動参加人数】
○子どもの人数:全体106名(内訳)中学生106名
○指導者:内部2名(上越教育大学)、外部2名(県教育庁教育事務所指導主事および岩手大学教育学部附属中学校教諭)
○協力者(ボランティア等):1名(上越市文化振興課学芸員)
○開催ペースやクラス数:学習成果の報告を兼ねる公開授業を毎年6月および10月に実施