博報賞

第56回「博報賞」贈呈式・祝賀会報告

第56回「博報賞」贈呈式・祝賀会

日時:2025年11月14日(金)15:30~
会場:日本工業倶楽部会館(東京都千代田区)

日本工業倶楽部会館にて、第56回「博報賞」贈呈式・記念祝賀会を開催いたしました。
贈呈式は厳粛な雰囲気の中、35組の受賞者様へ贈賞が行われました。
記念祝賀会は立食パーティー形式にて開催し、審査委員の先生方や参加者同士の活発な情報交換の場となりました。

戸田裕一理事長挨拶

第56回「博報賞」 贈呈式にあたり、ひと言ご挨拶申し上げます。
本日、多くの受賞者様、ならびに関係者の皆様にご出席いただけますこと、深く感謝申し上げます。
また、6名の審査委員の先生方をお迎えし、文部科学省から初等中等教育局 藤枝秀樹(ふじえだ ひでき)視学官のご臨席を得まして、ここに第56回「博報賞」贈呈式を執り行えますことは、誠に意義深いことであると存じます。

「博報賞」は、児童教育現場の活性化と支援を目的として、当財団設立とともにつくられました。
日々、教育現場で尽力されている学校・団体・教育実践者の「波及効果が期待できる、草の根の優れた活動と貢献」を顕彰しております。
「ことばの力を育むことで、子どもたちの成長に寄与したい」そんな想いを核として、子どもたちの豊かな人間性育成を祈念し、支援を続けて参りました。

今日、知識の伝達だけでなく、非認知能力や子どもたちが未来を自ら切り拓くための「生きる力」を育むことが、教育現場の重要な使命となっております。また、デジタルツールやAIが普及する一方で、子どもたちの多様な背景や、心の健康へのきめ細かな対応も求められています。個々の子どもたちと向き合い、それぞれの可能性を育む先生方の献身的なご尽力に、心から敬意を表する次第です。
そうした環境下において、個人・団体でアイデアを出し合い、長きに渡る活動の継続や、新たな取組をされている数多くのご応募・ご推薦を賜り、審査委員の先生方による厳正かつ的確なご審査を経まして、12件の博報賞および、8件の功労賞、15件の奨励賞を贈呈する運びとなりました。本日の受賞者の皆様が体現されている、創造的で実践的な取組は、まさに未来の教育の道標となるものでございます。
ご応募・ご推薦いただきました皆様に対し、また、審査、選考の労をお取りくださいました審査委員の先生方に対しまして、改めて厚く御礼を申し上げます。
ご受賞者の皆様方、お一人お一人の多大なるご尽力と貢献に微意を表しますために、正賞としての賞状と、些少ではございますが、副賞をお贈り申し上げ、顕彰させていただきたいと存じます。
本日ご受賞の皆様方と関係者の皆様方におかれましては、ご健康にご留意いただき、皆様方の後に続いて活躍される、数多くの教育者の良き先達として、また、子どもたち一人ひとりの笑顔と未来のために、今後益々のご活躍を祈念いたしまして、ご挨拶といたします。

滝川国芳 審査委員長 京都女子大学教授
審査経過報告

第56回「博報賞」には、全国都道府県の教育委員会をはじめ、児童・生徒の教育に携わる多くの有識者の皆さまから、103件のご推薦・ご応募を賜りました。
本年8月に審査委員会を開催し、皆さまの取組を一つ一つ充分に時間をかけて、慎重に審査させていただきました。
その中から、子どもたちの主体性を引き出し、「教育実践の活性化」を果たしている先駆性・独創性のある取組で、なおかつ「波及効果が期待できる草の根的な活動と貢献」として、12件を博報賞に選出いたしました。
また、功労賞8件と奨励賞15件を選び、正式決定とさせていただきました。
次に、文部科学大臣賞について申し上げます。博報賞受賞者の中から、
宮城県 大崎市立古川第五小学校 講師 早坂 和枝 様
  「正しく発音できる喜びを実感し、喜んで話す児童を育てることばの教室」
静岡県 浜松市立蒲小学校 教頭 磯部 真代 様
  「つながる学校 ~社会に開かれた学びの実現へ~」
そして、宮崎県 西都銀上学園 西都市立銀上小学校・銀鏡中学校
  「銀上地域の自然・文化が紡ぐ教育の再生 ~山村留学制度と共に歩んできた30年の取組~」
以上3件を文部科学大臣賞にご推挙させていただきました。

今年の応募件数は103件と、昨年と比べ42件も増加いたしました。
これはコロナ禍以降、コロナを乗り越えた活動が目立つようになり、領域によっては新しい取組、長年の取組とバラエティー豊かな応募となりました。そんな中、子どもが大人と一緒になり価値を見いだす実践、子どもが地域を元気にする地道な活動など、人とのつながり、共同性を大切にした取組が多く受賞しています。また、若い人のチャレンジも増え、今までになかった新しいアイデアの活動は今後の発展としても、大いに期待が持てます。
応募活動の中身はどれも素晴らしく、以前の受賞活動とも比較しながら厳格なる協議を重ねてまいりました。過去の受賞関連者からの応募や、熱心な教育委員会の方々からも継続応募をいただきました。また、この度、昨今、応募のなかった都道府県から博報賞を受賞されています。今後、更なる素晴らしい教育実践活動の顕彰、波及効果の拡大のために、「博報賞」を広く知っていただき、各関係機関にもご協力をいただきたいと存じます。今回の受賞で終わりではなく、今後とも引き続き皆様からのご支援をいただきたく、この場でお願い申し上げます。

簡単ではございますが、審査の経過報告といたします。

さて、2020年1月に新型コロナウイルスが日本国内で確認されて以来、瞬く間に全国的な感染拡大が始まりました。そして同年3月からは、全国の小学校・中学校・高等学校・特別支援学校において一斉休校が実施され、子どもたちは学校という場での、学校生活を送ることができなくなりました。
そして、人との接触が制限され、学校が再開された後も、楽しい給食は黙食、学校行事や地域活動が制限されたり中止されたりするとなど、日常生活の中で、成長発達に必要とされる多くの大切な経験の機会を失いました。その結果、コミュニケーション能力の未熟さや社会性の育成の遅れ、さらには言語発達への影響など、今を生きる子どもたちに様々な課題が生じていると言われています。
児童教育現場の活性化と支援を目的とする「博報賞」は、「ことばの力を育むことで、子どもたちの成長に寄与したい」という想いを大切にしています。
今の時代を生きる子どもたちにとって、コロナ禍には経験できなかった、「人と人とが互いに目を合わせ、一緒に活動に取り組み、自分自身の存在を大切にしながら、相手を思いやり、笑顔でことばを交わす時間と経験を創り出す活動」が、何よりも大切であると感じております。
本日ここにお集まりの皆様をはじめ、日々教育現場でご尽力されている学校・団体・教育実践者の皆様と共に、子どもたちの笑顔のために、より一層の取組を進めてまいりたいと考えております。

最後になりましたが、本日は、栄えある博報賞のご受賞、誠におめでとうございます。
以上をもちまして、審査経過の報告、ご挨拶とさせていただきます。

    文部科学省 初等中等教育局 藤枝秀樹 視学官 文部科学大臣 祝辞 代読

    各賞 賞状贈呈

    受賞者代表挨拶

    祝賀会