
活動内容
地域とつながる居場所で役割と自信を得る実践
本実践は、37年の長きにわたり「都農神社夏大祭」に中学生が関わることで、地域文化の継承と子どもの成長をつないできたものである。子どもたちは、地域文化に触れることで自らの存在価値や役割に気づき、自己肯定感を育んでいく。活動は、総合的な学習の時間に位置づけられ、「ふるさと学習」というテーマのもとで実施されている。主となるのは都農神社の夏祭りへの参加(神輿担ぎ、太鼓台担ぎ、太鼓演奏)だが、準備の段階から保護者や地域の有志の支援による太鼓台の装飾物の制作や設置など、祭りの実現に向けて必要な活動に携わっている。都農神社宮司による祭りの由来に関する授業や地域の祭り関係者による講話などを経て、子どもたちから「もっと地域の人の話を聞きたい」「自分たちで絵本をつくりたい」「来年の子たちのために記録を残したい」という声が上がり、祭りの由来を絵本にまとめる活動や美術部による絵馬の奉納へと発展していく。消極的な態度を示していた子どもたちも、祭りという地域の行事に向き合う中で自分の役割を見いだし、責任をもって行動する姿勢が芽生えていく。「自分もこの祭りの担い手になれる」「誰かの役に立っている」という実感から、ふるさと(自分の居場所)への誇りと責任感が育まれていく。
【写真】
祭当日の様子
審査委員より
都農神社夏大祭に中学生が参画する実践。1987年から長きにわたり継続されてきたことも高く評価された。開始当初は、その時代における中学校特有の課題を解決すべく、地域の教育力を必要とした切実な取組だった。夏祭りの歴史や背景を知り、準備から運営に至るまで生徒の手で行う様子は、地域文化の担い手としての中学生の姿を具現化する好事例である。祝祭性の中で地域が"みんなの居場所"となり行事をつくり上げることは、生活に元気が漲り、子どもから大人まで、地域全体が笑顔になることを本実践は示している。
プロフィール
都農町立都農中学校
【代表者】
上中別府 利一
【役 職】
校長
【活動開始時期】
1987年
【団体所在地】
宮崎県児湯郡都農町
【HP】
https://www.instagram.com/tsunochuu/
【学校(団体)規模・活動参加人数】
○子どもの人数:全体200名(内訳)中学生100名、その他100名
○指導者:内部10名、外部10名
○協力者(ボランティア等):50名、保護者100名
○開催ペースやクラス数:毎年、現在3クラス




