活動内容
子どもの「変容の過程」を支える工夫とサポート
早坂和枝氏は、10年以上にわたって小学校の言語障害通級指導教室(ことばの教室)を担当してきた。構音に障がいのある児童は相手にうまく伝わらない、聞き返される、まねをされて笑われるといった経験をする中で、周囲に対する引け目を感じやすい。また、構音に困難さがあることを自分で受け入れることも、構音を学ぶことも相当の苦労を必要とする。早坂氏は、構音に困難さのある児童に対して「変容の過程」を大切に実践を行ってきた。実践では、レーダーチャートを使った学習振り返りシートを活用している。振り返りシートは、連絡ファイルとして児童、ことばの教室、学級担任、保護者の4者をつなぐコミュニケーションツールとなる。児童がその日の学習の目当てと振り返りを、ことばの教室の担当が学習のポイントや児童の取組を記入する。保護者と学級担任は、それらを確認し学校や家庭で気づいたことやメッセージを記入する。連絡ファイルに記入された内容は「花さき山」と題したことばの教室のお便りで紹介する。ことばの教室を利用した児童が、放送委員会に入り全校児童を相手に放送にチャレンジするなど、「変容の過程」を大切にした実践がことばの教室の学びを支え、児童の意欲と笑顔を引き出している。
【写真】
動画を見ながら発音の変容を確認している様子
審査委員より
ことばに障がいのある子どもの支援において、早坂氏の「変容の過程」を大切にした実践は重要な意義をもつ。レーダーチャートを用いた実践は児童の自己理解を促し、連絡ファイルや学級通信は「変容の過程」を担う保護者や担任の大きな支えとなっている。「変容の過程」を大切にした実践が、ことばに障がいのある子どもの笑顔と意欲を大きく引き出していることに加えて、自らの実践をまとめ、研究発表や研修会講師を務めるなど後進の育成も積極的に行っており、博報賞に値する優れた実践と高く評価できる。
プロフィール
早坂 和枝
【所属先役職】
大崎市立古川第五小学校 講師
【活動開始時期】
1992年
【所在地】
宮城県大崎市
【学校(団体)規模・活動参加人数】
○子どもの人数:全体26~30名(内訳)小学生26~30名(週1時間一対一の個別指導)
○指導者:内部1名
○開催ペースやクラス数:週5日間 1日5時間から6時間





