正解のない問いの前に立ちつづける 【転換期を生きる人間を考える】 第2回
日時:2025年2月15日(土)
会場:日比谷国際ビル コンファレンス スクエア(東京都港区)※ リアルとオンラインのハイブリッド形式で実施
発表者:奈須正裕氏(上智大学総合人間科学部教育学科教授)
参加者:教員、指導主事、教職大学院生(現職教員)、付属校教員、若手研究者など、計74名
【実施概要と主旨】
今回の研究交流会議は、上智大学総合人間科学部教育学科教授の奈須正裕氏とともに、次期学習指導要領の改訂を見据えた教育の方向性について理解を深めるとともに、教育現場の多様な実践者が意見を交わすことで、学びの深化と相互啓発を図ることを目的として実施しました。教育に関わる多様な立場の実践者や研究者が集い、「次期学習指導要領」を軸に、教育の本質とこれからの実践を問い直す貴重な機会が提供されました。プログラムは、奈須正裕氏による発表に始まり、グループディスカッション、全体共有・意見交換という三部構成で進行されました。
【発表:奈須正裕氏】
奈須正裕氏による発表では、「学習指導要領は子どもの幸せを中心に据えて設計されている」という解説がありました。
学習指導要領が、単なる行政文書ではなく、 "子どもの幸せ"を軸に設計された、現場の実践に根ざす"血の通った理念"であること、また、「教育者は調理人ではなく"料理人"であるべき」という比喩に見られるように、「自らの専門性をもって子どもの学びを創造する姿勢」が求められていること、「総合=余白」「中心的概念の構造化」「学びをデザインする力」といったキーワードからは、画一的な指導から脱却し、柔軟かつ意図的に学びを設計する重要性が浮かび上がりました。
【グループディスカッション】
発表後のグループディスカッションでは、異なる校種・地域・立場の参加者同士が対話を重ねました。「視野を広げること」「日々の実践を言語化し、他者と共有すること」「教育活動の目的と手段を改めて意識すること」が重要である、という気づきがありました。また、対話を行うことによって実践の意味がより深まるという発見がありました。
【全体共有・意見交換】
全体共有では、「他グループの議論を聞くことで、自分たちの視点の偏りに気づけた」という声が多数あり、対話による相対化が新たな気づきにつながったことが分かります。また、「奈須先生のフィードバックがさらに理解を深めてくれた」との感想も多く、専門的視点からの助言によって、参加者の議論がより深まったことがうかがえました。
教師が自由に発想できる場の大切さを再認識したという声も印象的で、今後の場づくりの方向性を示唆しています。
これらの意見のほかにも、教育の本質を見つめ直し、未来への一歩となるような力強い意見も多く寄せられました。
(その他参加者からの声)
- ・「教育の本質と教員の役割を改めて見つめ直す契機となった」
- ・「次期学習指導要領への理解が深まった」
- ・「教育の本質を再確認できた」
- ・「子どもの幸せを中心に据えたカリキュラム設計の必要性を実感した」
- ・「全国の先生方との交流が、自分の教育観を再構築するきっかけになった」
- ・「環境のせいにせず、自分から変えていきたい」
- ・「日本の教育をよくする一歩にしたい」




