3冊同時刊行 [Part 1 / 2 / 3]資料請求はこちら(博報堂教育財団ウェブサイト)からhttps://www.hakuhodofoundation.or.jp/contact/request/調査後記35©公益財団法人博報堂教育財団2021 PrintedinJapan本誌掲載の記事・写真の無断転載をお断りします。写話による、ありのままの子ども2020年の14歳Part3発行日:2021年7月30日発行人:中馬淳発行:公益財団法人博報堂教育財団〒100-0011東京都千代田区内幸町二丁目2番3号日比谷国際ビル14階Tel 03-6206-6266www.hakuhodofoundation.or.jp※本誌の内容は、ウェブでも公開しています。企画・編集:博報堂教育財団こども研究所編集・構成:沼上純也(イヰマ)編集補助:川田祥世、西村健、平田和佳、大河原かなみ、小沼美優、堀山結花アートディレクション:大西隆介(directionQ)デザイン:椙元勇季(directionQ)印刷・製本:田宮印刷株式会社 14歳はいわゆる思春期の真っ只中だ。思春期ならではの、不安とも不満ともつかない、もやもやした思いがあるだろう、と想像する。だが、このような調査で、見ず知らずの大人がいきなり聞き出そうというのは無理がある。好きなことは話すだろうが、嫌なこと、都合の悪いことを話さないのは当然だ。それでも思いがけず、胸に溜まったもやもやが、まるで風船を針でつつくと“プシュッと空気が漏れ出る”ように、出てくることがあった。・「やっぱ勉強ができないんで受験が上手くいくかどうか。将来、学歴とかけっこう大事になってくるので。学歴が悪かったら、いい仕事にもつけない」「三者面談でも、このままだと将来が不安ですねとよく言われるんで(中略)やっぱ大人のほうが説得力というか、迫力がすごいというか、経験者なんで。」(Part1-03MAさん)・「まぁ、友達関係でいろいろ悩んだりありました。最近はけっこう適切な距離を保ちながらふわっと。」(Part2-04FIさん)・「学校で話しているのは、普通の裏の自分みたいな感じなんで…陰キャと陽キャだったら、陰キャのほうですね。」「やっぱ成績とか気になるし、授業中にはっちゃてられへんし。必然的に。しかも…表の顔、向こうで出したら、ん?て思われるのが、ギャップがあるんが嫌やから。」(Part2-09MGさん)・(クラスの合唱で特技のピアノ伴奏すれば、という投げかけに)「ああ、絶対無理です。…やだ、やだ。やだ。失敗する。絶対失敗する。そういうプレッシャーとか緊張とか無理なタイプだと思うんで。」(Part3-07MLさん) Part1~3から、わたしが気になった発言のいくつかを挙げてみたが、こんな悩みは昔からあったよ、と言う人がいるかもしれない。しかし、その渦中でいま戦っているのは子どもたちであり、その「もやもや」は一人一人個別で切実なものなのだと感じた。 30人の中で1人、気になる子がいた。彼女は、インタビュアーの質問にうなづいたり、首を振ったりするだけのことが多かったが、学校はどうか?と言う質問にははっきりと「楽しくない」と答えた。一方で、彼女の撮った写真のセンスの良さは際立っていた。動画編集が好きだとも言う。言葉では、胸の内のもやもやを上手く表現できないようだったが、彼女なりの表現力を発揮して、考えたり、感じたりしたことを、思い通りに表現できる未来を願った。(F)14歳のもやもや。
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